新しい領域「GovTech業界」をつくる
民間人材の受け入れ体制を整備する一方で、小島さんには新たな課題が見えてきた。それが組織づくりだ。官民協働組織であるGovTech東京では、民間人材は最大5年の任期制、公務員(都庁からの出向職員)は一般的に2~3年ごとのローテーションと、在籍期間も異なる。この類いまれな高い人材流動性の中で、いかに組織としての一貫性を保つのか。
「人が変わっても事業が安定的に回るよう、属人化させない『型化』が重要です。そして何より、組織に『オープン&フラット』というカルチャーを根付かせることが大切」と小島さんは強調する。
さらに、「GovTech業界」という新しい領域の創造も目指している。「金融業界のFinTechや教育業界のEdTechという言葉は知られていますが、GovTechはまだまだ認知度が低い。そもそも正しく読める人も少ないのではないか」と小島さん。今さらだが、GovTechはGovernmentとTechnologyを掛け合わせた造語で、ゴブテックでもガバテックでもなく、「ガブテック」と読む。
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業界として確立されて活気づけば、行政DXの持続可能性も高まる。行政と民間の人材が自由に行き来する「リボルビングドア」を実現し、より多くの意欲あるデジタル人材が行政に関われる環境を作ること。それが、質の高いデジタルサービスを当たり前に享受できる未来につながっていくはずだ。