初代mixiと同じく「招待制」「コミュニティ機能」を採用した理由
笠原氏がmixi2で大事にしているのは「自分が主役になれるSNS」というコンセプトだ。「誰かがバズっているのを見る、レコメンドされたものを見て、周りから情報収集するだけのSNSというよりは、自分が中心となれるSNSだといいな」と、思いを語る。
その思いは、招待制を採用した理由にも表れている。「誰からも招待を受けずに入ってしまうと、本当に空っぽのタイムラインになってしまう。誰かから誘われて入って、その人のタイムラインが並んでいる状態の方が理解しやすいし、その招待した人経由でフォローすべき人が見つかるかもしれない」という考えだ。
さらに、コミュニティ機能も重要な特徴の一つだ。初代mixiで人気があった機能でもある。
「コミュニティって面白い仕組みだと思っていて。自分が興味関心があることに関して、いきなり大勢で、まとまった人数ですぐに話して、コミュニケーションを開始することができるんですよね。そこで盛り上がっていった人が、普段どういうこと呟いてるんだろう?って思って、フォローしたりフォローされたり。イベント機能もあるので、オフ会を開く、ということもあり得るかもしれません」
「人によってはその(友人)関係とコミュニティと別にしたいなって人もいるとは思いますし、別だからこそ盛り上がりやすいという面もある」と、ユーザーの多様な使い方にも配慮している。「mixi2を使っていない人にも、コミュニティやイベントページのURLを共有することは可能です。あと、使っている人はまだあまりいないと思いますけど、コミュニティからmixi2に招待する、という機能もあるんですよ」
ほっこり、平和なSNSに~「心理的安全性」を重視する理由
mixi2の一つの特徴が、全体的にほっこり、平和なムードであることだ。リアクション絵文字は基本的にポジティブな言葉ばかりだし、誰かの投稿に返事をしようとすれば“やさしいことばで返信しよう”と表示される。あくまで私の観測範囲内の話ではあるが、ギスギスしたり罵倒し合ったりという状況も、今のところ見たことがない。
現在のSNSについて、笠原氏は「SNS自体が『なんか危ないもの、怖いもの』って感じに、特にこの数年なってきている」と指摘する。「レコメンドが効きすぎることの弊害ってありますよね。本人はそこまで大声を張り上げていろんな人に言ったつもりはないのに、めちゃくちゃ大声になっちゃってて、ちょっと軽く言ったつもりの発言で大炎上しちゃった、といった事例が増えている」
レコメンドが効いた結果、確かにXでは日々あちこちで炎上が起きている。「SNSでは怖くて発信できない」「SNSにはリスクしかない」と思う人が増えている現代のSNS、特にXの状況とは対照的に、mixi2では心理的安全性を重視している。「インターネットなので100%防げるとは言えないが、(mixi2は)おおむね平和な、身内で安心してワイワイしやすい空間になっています」と自信を見せる。
UIデザインにもその思想は反映されている。「アニメーションやハプティクス反応(注:スマホを持つとブルッと振動し、手に伝わること)など、使っていて楽しい感じを演出したいなと思って、デザイナー、エンジニアが工夫していろいろ入れている」という。また、何の接点もない第三者の投稿が見える設計にはしていないことも、心理的安全性を担保する一つの要素となっている。