もちろん体験型学習を否定するわけではありません。ただし、それと受験に向けた学習、基礎学力の習得は分けて考える必要があります。体験だけでは「ゼロはゼロ」のままなのです。一部の天才や、もともとその方面にセンスがある人を除いて、歴史なり科学なりは単純な基礎知識を学ぶという「苦行」の上にこそ、体験で得たものがようやく意味を持ち始めるからです。

 最近では教育系のYouTubeチャンネルやアプリなども充実してきています。歴史や地理、科学など、従来の学習教材が「2次元」だったとすれば、動画による学習は「3次元」的であり、話し上手な出演者による解説もあいまって、教育機関の授業顔負けに分かりやすく編集されているものも増えています。保護者が厳選した番組なら、お金をかけた体験学習と遜色ない充実した経験ができます。

 低学年の基礎学習養成は、必ずしも従来型の教材にこだわる必要はありません。たとえば、計算を紙でやるのは気乗りしなくても、点数が出たり、目標達成を促すゲーム型のアプリなら喜んで取り組めるなら、それでも全く構いません。子どもが楽しめる新しいツールをどんどん活用しながら、毎日学習する癖をつけ、基礎学力を蓄えていって下さい。

中学受験をするなら「低学年」から鍛えるべき3つの力