漢字力との関係についても触れておきましょう。もちろん学年相応の漢字の読み書きの力は必要ですが、それは本を読むことを通じて自然に覚えていくのが理想的です。

 実際、びっくりするほど漢字が読めない子どもや、読めても意味が分からない子どもが多いものです。ここでいう言葉とは、慣用句ではなく通常使う単語の意味のことです。

 例えば「多彩な」「限定する」「ダブルスコア」といった大人には当たり前すぎる言葉が分からない子どもは少なくありません。親は、すでに大人になってしまって、自分がどのように漢字や言葉を覚えていったのか忘れているでしょう。一緒に本を読みながら、子どもに意味を尋ねてみて、わかっているかどうか確認することが重要です。

論理的思考力を磨くための鉄則
答えをすぐに教えてはいけない

 計算力、読書力(加えて漢字力)が十分に身に付いた場合でも、特殊算や国語の文章問題の選択肢を選ぶテクニックなどを学ぶ必要はありません。重要なのは「論理的思考力」です。

 特に新しい大学入試の傾向を受けて、この力が強く求められるようになってきています。とはいえ中学入試では、主に上位校で重視される傾向にあり、中堅校ではまだそこまで求められてはいません。

 計算力と読書力がある程度身についた子どもの場合、論理的思考力の養成に取り組んでみるのもよいでしょう。それに特化した塾もありますし、書店では論理的思考力を鍛える安価なドリルなども販売されており、それでも十分です。しかし、その使い方には注意が必要です。

 論理的思考力の問題は、例えば、パズルのようなもの。その場でルールを読んで考えていく形式が多くなっています。トランプゲームで言えば、ポーカーのルールが書いてあって、「手元にこのカードがあります、相手はこれを持っています、ここにXXという札がありますがどうすれば有利になりますか」といった具合です。

 ここで大切なのは、保護者が安易に答えや解き方を教えないことです。むしろ「20分考えて解けなかったら、その日はそこで終わりに。次の日にまた取り組む」というくらいのタイムスパンで臨んで下さい。教育熱心な保護者ほど「できるようにさせなければ」と解法をすぐに教えてしまいがちですが、それは逆効果なのです。