本の読み聞かせをする中で
あらすじや言葉の理解を確認

「計算力」と並んで重要なのが「読書力」です。近年の大学入試では科目を問わず、長文問題が増加傾向にあり、その影響は中学入試にも及んでいます。

 将来中学受験をしようと思っているなら、親は今年の中学受験の入試問題の国語の問題を読んでみて下さい。そして「たとえば数年後に自分の子どもがこれを読めるようになるだろうか」と想像してみてほしいのです。結構、危機感を覚えるのではないでしょうか。そして読む力はやはり読書で養うのがもっとも効果的です。

 読書力の育成は実は塾だけでなく、いやむしろ塾でなく、家庭でこそ取り組みやすいものです。なかでも低学年のうちは、読み聞かせが有効です。もちろん一人でも楽しく本を読める子どもであれば、それでよいのですが、そうでない子どもの場合は文章に慣れるという意味でも読み聞かせから始めて下さい。

 本を読みながら、あらすじが理解できているかを確認することから始めましょう。あらすじの理解が重要なのは、子どもによっては読み聞かせていても、意外に内容がわかっていない――文章そのものが理解できていない――というケースもよくあるからです。

 このとき親は、説明文であれば「地球環境を守るにはどうしたらいいだろうね」といった考察や、物語文であれば「登場人物の気持ちを一緒に考える」といったことをするべきではないかと思うかもしれません。しかし、これらは最終的な目標です。

 考察や心情理解は、まず文章が読めて理解できてからの話で、正直なところ最後でよいのです。何より、文章の内容自体が理解できていなければ、考察も心情を考えることもできません。いや、もっと言えば文章を読み、理解することができなければすべての教科の学習が不可能です。

 本を読む練習をすれば、即国語の成績が上がるのかと言われれば、それほど単純な相関関係はないかもしれません。ただ、読めて(理解できて)いなければ成績が上がることはありません。本が読める、文章が読めるということは大前提です。