そうなれば、上司のマネジメントは成功です。最も頼りになって、最も良き理解者であるあなたの言うことを、上司が聞いてくれないわけがありません。

 上司から大事にされて職場における意見や要望が通りやすくなると、周囲からも信頼され、自分の裁量がどんどん大きくなっていきます。結果的に、あなたのエンゲージメントはどんどん高まっていくわけです。余人に代え難き人になることが、エンゲージメントを上げるうえで大切な考えだと思っています。

フィードバックをもらえるのは
期待の表れと心得よう

 エンゲージメントを高めるために、フィードバックに対する考え方も明確にしておきましょう。

 フィードバック(feedback)という言葉の語源は、英語の「feed(供給する)」と「back(戻す)」から成り立っています。昨今のビジネスの現場では「期待と実態の差分を成長機会として伝える」こととして、組織における人間関係の質向上や効果的な人材育成に不可欠な要素と考えられています。

 フィードバックを受けると、自分を否定されたような気持ちになり、暗澹たる気持ちになる人も中にはいると思います。また、「あなたに言われたくない」とフィードバックを素直な気持ちで受け取れない人もいるでしょう。

 しかし、フィードバックに対してネガティブな感情を抱くことは、あなたのエンゲージメントを高めるうえでマイナスにしか作用しないと断言できます。なぜなら、フィードバックというのは、あなたの「現状」とあなたが求められている「理想像」との差分を示したものだからです。

「あなたならできる」と思っているから、さらに高いレベルを求めているのです。要するに、期待の表れです。

人事のプロ「上司の言うことは絶対!」→ヤバすぎない?と思ったけどよく考えたら納得だった『自分の価値のつくりかた』(安田雅彦、フォレスト出版)

 フィードバックをする側に立って考えてみましょう。フィードバックをするということは、相手のことを理解し、相手のために時間を取っているということです。つまり、どうすればあなたが成長できるかを熟慮して伝えてくれているわけなので、これは非常にありがたいことです。ポジティブに「ギフト」として受け取りましょう。

 フィードバックをポジティブに受け取り、「現状」と「理想像」との差分を埋めることができれば、当然、現状は理想に近づいていきます。

 フィードバックはあなたが成長するための福音であり、成長実感の源泉です。その指針に倣って努力していけば、あなたの評価が高くなることは間違いありません。