8位ラスベガス(米国ネバダ州)
カジノ以外にも観光・ビジネス需要あり
8位は、米国ネバダ州のラスベガスだ。ご存じ、カジノとショービジネスで名高い全米屈指の観光都市である。
かつてJALやノースウェスト航空(現デルタ航空)が直行便を出していたが、2006年に廃止された。現在では毎年1月に行われる世界最大の家電・ITの展示会である「CES(Consumer Electric Show)」の開催時に、アメリカン航空が臨時便を出すに留まっている。
ただし、コロナ禍前の16年には、ラスベガスには約23万人もの日本人が訪れていた。ラスベガス側からすると、アジアの中では日本人が最大のお客さんだ。
それゆえ現地観光局をはじめ日本路線再開には熱心である。実はカジノ以外にも観光資源は豊富で、例えばグランド・キャニオンへの主要なアクセスルートでもある。また、展示会場としてもよく利用されるので、ビジネス需要も存在する。
観光地として多様な楽しみ方があり、企業の出張需要も期待できるだけに復活が望まれる路線といえるだろう。
9位バルセロナ(スペイン)
1万km超のロングフライトがネック
最後に紹介するのはスペイン、カタルーニャ州の州都バルセロナだ。サグラダファミリアなどの有名建築や、名門サッカーチーム「FCバルセロナ」、地中海の豊富な海の幸をベースとしたグルメでも知られる、欧州屈指の観光地だ。
韓国や中国、シンガポールなどアジア各地から直行便が乗り入れているが、残念ながら日本からの直行便はない。そのためカタルーニャ州政府は長年、日本への直行便開設を望んでいる。
しかし、開設のハードルは少々高い。まず、日本人の海外旅行需要はまだ弱い。また、日本~スペインは、イベリア航空が24年に成田~マドリード直行便を再開している。この路線はイベリア航空でも最長距離となる約1万700km、機長・副機長がそれぞれ2人ずつ計4人必要だ。バルセロナも1万km超の距離となるため、コスト的にも決して気軽に路線開設はできない。
バルセロナ空港は、欧州LCC大手のブエリングやレベルの拠点であり、日本人が欧州内や南米への移動を安く済ませたい場合には便利な乗り継ぎ地点にもなる。LCCでロングフライトはちょっと…と思う人が多いかもしれないが、レベルはチリのサンチアゴ(1万1132km)やアルゼンチンのブエノスアイレス(1万458km)など超長距離路線に就航実績があるので、日本も視野に入れている可能性はある。
いかがだっただろうか。本稿は筆者独自の見解を含んでいる。航空ファンや旅行好きが意見交換する参考になれば幸いだ。
日本人の海外旅行需要がなかなか回復せず、ANAもJALもコロナ禍で機材や人員の削減を行ったため、2社だけとなると実際の就航地は限られるだろう。しかし、外資系エアラインやLCCも対象とすれば話は広がる。特に、路線誘致に強い意欲のあるサウジアラビアや、アジアの中で日本が優位に立つことが多い米国路線の開設には、大いに期待したい。