同誌は昨年12月26日発売号で今回の疑惑の第一弾記事を掲載している。その中で、中居正広氏と女性のトラブルの発端となった「食事会」について、フジテレビ幹部社員のA氏がセッティングしたと報じた。しかし、実はその後の取材によって、この食事会については中居氏が女性を誘っていたことが判明したというのだ。

 そのため、1月8日発売号の第2弾記事からは、そのように報じていた。この「軌道修正」を指摘した弁護士の橋下徹氏の言葉を借りれば、「しれっと誤りを上書きしていた」のである。

 その対応もさることながら世間が不信感を抱いたのは、この「誤った情報」が掲載されていた第一弾記事の「訂正」を、フジテレビの会見が終わるまで「公表」しなかったことである。

 週刊文春電子版が昨年12月26日発売号の記事を訂正したのは1月28日。そう、フジテレビ経営陣が「A氏の関与」をめぐってつるし上げられた10時間会見の翌日なのだ。この不可解なタイミングについて、フジテレビの清水賢治社長もこう述べている。

「10時間以上の会見をやっていましたが、あそこにいらした記者さんがそこまでの時間を使わなくても済んだんじゃないか、という気はいたしました」

 これには賛同する人も多いだろう。一般社会の感覚では、1月6日の取材で誤りがわかった時点で、第一弾の記事を訂正すべきという発想になるだろう。食品や製品で「誤表示」や「異物混入」を把握した場合、すぐさま関係省庁に報告して速やかに公表や回収をするはずだ。そのため、ネットやSNSでは「卑怯」「やっぱり文春はゴミ」など批判の声が溢れている。

 フジテレビが炎上をするだけではなく、同社の「疑惑」を厳しく追及していた文春やフリージャーナリストまで火だるまになるという「勝者ゼロ」の展開に、「やっぱりマスゴミの言うことなど、何も信じられないな」という憤りの声も多い。

 そんなメディア不信の深刻さを伺えるのが、ネットやSNSの一部ユーザーで盛り上がっている「中居くんは悪くない」「中居正広氏はでっちあげ記事で葬り去られた」というものだ。