「金利上昇=J-REITは下がる」って本当?
物件価格は上昇するケースも
一方、そうはいってもJ-REITには不安があるという方もいるでしょう。そうした方の懸念材料の一つに、「金利が上昇するとJ-REITは下がる」という考え方があるかもしれません。これは一部正しいものの、J-REITのそれぞれの実態を正しく理解することが重要です。
金利上昇がJ-REITに悪影響を与えるのは、借り入れコストが増加するためです。しかし、実際のデータを見ると、必ずしも金利上昇がJ-REITに悪影響を与えるわけではありません。
どのJ-REITも詳細な決算書を開示しています。それらの一次情報に触れてみると、金利スワップを利用したりして(デリバティブの一種で、変動金利と固定金利を交換していると考えるとわかりやすい)、金利上昇のリスクに対応しているものがあることなどがわかります。確かに金利上昇はリートにはマイナス要因ではありますが、現時点できちんと対応しているJ-REITが多いのです。
また、金利上昇は「景気回復のサイン」でもあります。オフィス賃料や商業施設の収益が増加する可能性もあるので、一概に金利上昇はダメというものでもありません。
そして最後に、金利上昇が、保有する物件価格の上昇につながる可能性があることです。一般的に金利上昇時は、不動産価格が下落すると考えられているため、意外に思うかもしれません。
ただ、米国の戸建ては実際、金利の上昇でまさかの高騰となりました。米国は住宅の買い替えがさかんな国ですが、金利の上昇は買い替えにはデメリットです。すると買い替える人が減少し、中古物件の供給が減少。住宅価格が値上がりするというサイクルが生まれたのです。
もちろん戸建てもビルも物流も全ての不動産がそうなるとは限りません。しかし、1月24日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの決定時には、同日、東証REIT指数が大幅反発。もちろん、金利上昇リスクは心得ておくべきですが、「金利上昇=J-REITが下がる」と単純に捉えて敬遠する必要はないといえるでしょう。