一般的に、日本人は「借金」について気にしすぎる傾向があります。確かに本格的に金利が高くなる前に早めに返済することは賢明です。しかし、竹内さんのように人生後半に突入し、健康のことも考えなければならないというのに、極端な話、食べものを切り詰めるような節約をしてまで早めに返済しようとする必要はないのではないでしょうか。無理して体調を壊すと、病気になり医療費がかかることになりかねません。
実際に、高齢者の中には極度に借金を恐れる人たちがいるようです。時価の7割でしか売れない(3割分は損する)のに自宅を売却し(「リースバック」を利用)、その後、相場より高い賃貸で住居を借りる高齢者が増えているのです。竹内さんの場合も、銀行に勧められたのは、あえて死ぬまでに完済しないという方法でした。
自宅を売却して住み続ける方法1
リースバック
時価の7割でしか自宅を売却できない「リースバック」 という取引を利用する高齢夫婦が増えています。高齢化によって今後も高齢者の人数が増えるため、リースバックの利用者も増えることが予想されます。
リースバックは、自宅を売却した後も賃貸契約をし、住み続ける方法です。売却することで数千万円などまとまった資金を得られたり、固定資産税や修繕費用などを払わなくて済みます。自宅の売却後は、家賃を払い続ける必要があります。この時、残金が多くなければ住宅ローンが残っていても利用可能です。
売却しても住み続ける理由には、自宅で介護していたり、高齢なので引越し先が見つからず、そのまま生活環境を変えずに住み続けなければならないという実態があります。いずれ入所する老人ホームのための資金として事前に大金を確保しておきたいというケースもありますが、今のうちに家を処分して清算しておきたいという気持ちもあるでしょう。