自宅を売却して住み続ける方法2
リバースモーゲージ

 一方、同じように自宅を売却後、住み続けることができる方法に「リバースモーゲージ」もあります。売却といっても、自宅を「担保」にしてお金を借りる方法です。

 生存中の支払いは利息のみなので、毎月の手出しは少なくて済み、所有権を持ったまま住み続けることができます。残りは、死亡時に売却することで清算されます。一戸建てが中心となり、契約するには条件が多いので、リースバックよりも該当者は少ないでしょう。

 どちらも売却時には自宅の価格の時価の3割減でしか買い取ってくれませんので、損することを覚悟しなければなりません。

一括入金が不要な老人ホームが登場
死亡保険金1200万円でローン完済する手も

 リースバックやリバースモーゲージは、老人ホーム入所のために一括で大金(入居一時金)が必要な場合に利用している人が多いですが、今は、入居一時金を分割で毎月支払う形態の老人ホームも増えています。そういった老人ホームを選ぶようにすれば、大金は不要になり、わざわざ自宅を売却する必要はないでしょう。

 また、住宅ローンを組むのはデメリットばかりではありません。残金があれば、住宅ローン控除が適用できる場合もあります。

 ローンの残金が1000万円程度なら、死亡時に受け取る死亡保険金でローンを完済する方法もあります。最近は死亡保険金を減らす傾向にありますが、それでも普通死亡保険金額(世帯主)の平均は1258万円*。高齢 になるほど減少していますが、最大1億円のケースもあります。

 中高年でマンション購入する場合、80歳時点で完済してなくても、死亡保険金の設定額を1000万円くらいまでにする方法もあるでしょう。

 また、団信(団体信用生命保険)でもカバーできます。8大疾病保障特約付き住宅ローンなど通常の団体信用生命保険の保障内容(死亡・高度障害)に加えて、「8大疾病で所定の状態」になったときに残りの住宅ローンが支払われる商品もあります。 金利は0.5%ほど高くなるだけですので、50代ならこのような方法もあるでしょう。

 他にも、住宅ローンの債務を引き継ぐことに対して子どもに納得してもらったり、親子ローンに切り替えたりする方法もあるでしょう。借金を極端に恐れ、自宅を売却してしまう前に、さまざまなプランを検討しておくことが大切です。 

生命保険文化センター 2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」より世帯主の普通死亡保険金参照