参加者たちは平均16キロ減量、糖尿病の改善、血圧低下など、イギリスで話題の減量プログラムがついに上陸。サンデータイムズ・ベストセラーはじめ、「今年を代表するダイエット本」「科学的根拠に基づいた真の減量ツール」とメディア、医療関係者が絶賛しているのが、『英国の専門医が教える 減量の方程式』だ。著者はオックスフォード大学医学部を首席卒業後、食欲や体重管理の研究でイギリスを代表する減量専門医のサイラ・ハミード氏。カロリーや糖質計算はせず、科学的に「満腹感」を味わえ、継続しやすいよう設計されているため、誰もが挫折しにくい配慮がなされている。日本国内でも発売たちまち重版し、「なぜ痩せなかったのかわかった!」と話題に。今回はカロリー重視のダイエットについて、特別に抜粋してお届けする。

【減量専門医が教える】「低カロリー」は痩せない。その残念な理由とは?Photo: Adobe Stock

低カロリー食は代謝を低下させる

 強い空腹信号と「満腹感が得られない」というメッセージによって、低カロリー食の長期的な継続は極めて難しくなります。

 しかし、カロリー制限ダイエットが失敗する運命にある理由は他にもあります。それは摂取カロリーが減ると、ホルモンの変化によって代謝が低下することです。

 代謝とは、「身体が燃料を消費する程度」を表しています。これは、暖房の温度調節機のようなものです。私たちは、燃費が上がってもいいから温かくしたいときは、暖房の温度を上げます。逆に燃料が不足しているときや燃料を節約したいときは温度を下げます。

 低カロリーの食事をしていると、入ってくる燃料が少なくなります。そのため、身体は貴重な燃料(少量の食事)を効率的に使うために、暖房の温度(代謝)を下げようとします。

 代謝が落ちると消費カロリーが減るため、痩せにくくなります。その結果、体重を減らすには、食べる量をさらに減らし続けていかなければならなくなります。

代謝が低いとどうなる?

 代謝が低下すると、様々なデメリットが生じます。代謝はその過程で熱を産生するので、低カロリーの食事をして代謝が落ちると寒さを感じやすくなります。また、代謝が落ちると疲れやすくなり、エネルギー不足に悩まされるようになります。

 野生動物は、半飢餓状態に陥ると、エネルギーを節約するために動かずにじっとするようになります。

 楽しみのために平原を走り回ったり、健康維持のために木のてっぺんを飛び越えたりはしません。そんなことをすれば、貴重なエネルギーが無駄になるからです。

 同じく、カロリー制限中の身体は、貴重な燃料を無駄にしないように、私たちをじっとさせようとします。そのためジムに行ったり、散歩したりする意欲がなくなります。

カロリー制限ダイエットは続かない

 これで、低カロリー食がどのように私たちの身体に飢餓反応を引き起こし、代謝を低下させるかを理解できたのではないでしょうか。

 もう、過去にカロリー制限ダイエットに失敗したことで自分を責める必要はありません。低カロリーダイエットは、身体の生理的な反応との絶え間ない戦いです。

 そして意志力は、何十万年もかけて人類が進化させてきた身体の仕組みには、決して勝てないのです。

(本稿は、『英国の専門医が教える 減量の方程式』を一部抜粋・編集したものです)