女性兵士になりすまし、男性を誘う手口はよく紹介されるが、このケースは逆。上半身裸のマッチョな兵士の写真素材を、ネット上で入手することなど容易いのかも知れない。
こういう話を信じてしまい、盲目になってしまう女性が今、目の前にいる。こうした状況では、何を諭しても聞く耳を持たないものだ。「騙されるヤツが悪いんだから、本人に気が済むように好きにさせとけばいいじゃないか」そんな声も聞く。だが、どうみても詐欺師だと思われる人物に送金するところを何もせずに、はいそうですか、というわけにはいかない。
「シリア駐留の米軍兵士」だが
送金先はフィリピンの銀行
「恐れ入りますが、こちらの方は今、シリアにいらっしゃるのですね?じゃあなぜ、送金先がフィリピンの銀行なんでしょう?」
「関係ないでしょ?」
「ございません。ただ、外国へ送金されたいとのことですので、お受け取りになる方のことを詳しく教えていただかないと、お手続きができません。こちらの方とお会いになったことはございますか?」
「ないわよ」
「会ったこともない方に3万ドル、450万円近くのお金を送るんですか?ちょっと危ないと思いますが」
「もう何カ月もやりとりしてるのよ。アメリカの住所だって分かってます」
「銀行といたしましては、海外への送金では送金先とお客さまとの関係や、送金目的を詳しく教えていただいたり、場合によってはエビデンスをご提出いただくなど、何かと面倒をおかけしてしまうものなんです。その点をご理解下さい」
エビデンス(証明・証拠)に相当するものとしては、送金の理由や相手、金額を説明できる資料。商品の代金ならば請求書。家族への仕送りならば、家族関係を証明できるもの。例えば住民票など。これまで仕送りをしてきた実績を示す通帳のコピーや、送金した領収書などである。
何とかして相手を円満に納得させる方法はないだろうか。どうしたら納得してもらえるだろうか。結局、警察から説得してもらうしかなさそうだ、という結論に達したものの、こういうケースでは、警察を呼ぶ理由が必要になってくる。