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買い物気分を味わえるよう
「衣料品」配布に工夫も
「食」の他にも「衣」の分野で面白い工夫をしているLAの地元ボランティアたちがいる。
被災地パリセーズにほど近い、公立短大のサンタモニカ・カレッジのキャンパスでは、住民や地元企業から寄付された大量の衣料品が、体育館内にアウトレットモールの売り場のようなレイアウトで展示されていた。
「私は被災したひとたちを絶対に惨めな気持ちにさせたくない。だから皆がコストコでショッピングしているような、一瞬でも明るい気分になれるレイアウトにした」と語るのは、設置を担当した、サンタモニカ・カレッジの職員のサンドラ・フランコさんだ。
体育館のフロア中に多数のラックが設置され、そこにハンガーにかかったジャケットやジーンズなどが所狭しと並んでいる。「女性用S」「男性用M」「子供服L」などのセクションに分かれ、SからXLまでのセクションの分類が、金や赤や青の風船でわかりやすく表示されている。
また、子供服の場合は「7歳~8歳用」などさらに細かくサイズが明記されて分類されていた。
入り口では、スポンサーとして協賛している家具量販店のイケアの青いビニール袋が全員に渡され、その袋に好きなだけ自分で選んだ衣類を詰めて無料で持ち帰れるシステムだ。
来場者全員が同じ青いバッグを持って体育館に入場していくことで、一種の共通体験をすることになり、かつ、来場者の貧富の差が見えにくい仕掛けだと言える。
ポップ音楽が流れる中、つかの間のショッピング気分が楽しめるように、来場者たちは、ボランティアたちから「被災者」ではなく「ショッパー」と呼ばれていた。
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