
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?また、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3935社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人の実名!上場3935社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#3では、小売り&外食業界のランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
小売り&外食業界は年収1億円以上が63人!
「独り負け」でも年収77億円の理由とは?
小売りや外食業界といえば、他の業界に比べ、従業員の年収は高くない。ところが、経営幹部に目を向けると、まったく違った景色が広がる。
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず年収1億円以上の高額な年収を受け取っている役員を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額に併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。今回は小売りと外食業界のランキングを紹介する。
トップの金額は77億円……。この驚愕の年収を受け取ったのはセブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント取締役専務執行役員。ちなみに、外食&小売業界のみならず、全上場企業で最高額となる。セブン&アイ・ホールディングスといえば、傘下のセブン‐イレブン・ジャパンが「独り負け」と評されるほどの不調。なぜ、これほどの高額になったのだろうか。
ほかにも、小売り&外食業界には年収1億円以上の経営者は多数いる。集計の結果、小売り&外食業界で「年収1億円以上」は63人いることが判明した。全業界の平均が33.6人だから、倍近い。
この業界は、ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正会長兼社長や、ヤマダホールディングスの山田昇会長兼社長など、創業者が現役のトップにとどまり高額の報酬をもらっているケースが多いのも特徴だ。そして、PBRやROE、時価総額といったいわば企業の成績と、年収の多寡は比例していないことも判明した。
では、どんな顔触れなのだろうか?パルグループホールディングス、ヤマダホールディングス、ファーストリテイリング、ケーユーホールディングス、日本マクドナルドホールディングス、ゼンショーホールディングス、マツキヨココカラ&カンパニー、コロワイド、エディオン、イオン、サンドラッグ、ZOZO、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、王将フードサービス、良品計画、ツルハホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、アダストリア、丸井グループ、J.フロント リテイリングといった企業の幹部たちは、幾らもらっているのだろうか。上場企業全業界の平均と比較して水準は高いのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。