日本でカジノが解禁される話に戻ると、カジノに関する広告も規制対象となる。翻ってカジノIRが有名なシンガポールでは、規制当局による事前審査を通過したうえで、空港やクルーズ船などに限って広告物を掲示できる。それ以外には、カジノの広告は出稿できない。加えて、必ずギャンブル依存症や未成年に関する注意文を表記する規則がある。要は、たばこのCMと一緒である。
日本でもIR整備法第106条で、(1)IR施設以外で広告を標示してはいけない(筆者注:ただし国際空港などは規制除外される可能性あり)、(2)IR施設以外でパンフレットなどを配ってはいけない(3)20歳未満を勧誘してはいけない、といったことが決まっている。いずれ、カジノ管理委員会がカジノの広告・勧誘指針を発表する。それに従って、メディア側でも自主規制ガイドラインが定められることになるだろう。

しかし現状は、そうしたガイドラインはない。そのためABEMA(サイバーエージェントとテレビ朝日が出資)では、『坂上忍の本気カジノ2024-パラダイスカジノウォーカーヒル-』という番組が放送されている。「韓国ソウルにあるパラダイスカジノウォーカーヒル!今年9月に新設されたVVIPルームで本気のバカラ対決!【提供】株式会社パラダイスインターナショナル【提供】PARADISE CASINO」などと紹介され、4万回以上視聴されている。
韓国では、射幸産業統合監督委員会(NGCC)
最後に、ガイドラインがない個人のユーチューバーがカジノ内を動画撮影した映像は、どうなるかだ。カジノ場内での動画撮影は厳禁であり、スマホのカメラを向けようものなら、すぐに注意される。「え?YouTubeにはよく、韓国のカジノで遊ぶ動画がアップされているよ?」と思った人に伝えておくと、それはジャンケット(カジノ仲介業者)がカジノ事業者から借り受け管理しているVIPテーブル(個室)でのプレイ動画である。
繰り返すが、カジノ管理委員会がカジノの広告・勧誘指針を発表し、メディア側でも自主規制ガイドラインが定められれば、カジノに関する宣伝広告は非常に限定される。せいぜいIRにできる豪華なリゾートホテルやレストランでロケをすることくらいか。いずれにせよ日本でもカジノ施設が映らない、またはカジノという言葉を出さない、というようにガイドラインで厳しく定められることは間違いない。ABEMAのような番組も、カジノテーブルで直接遊ぶ映像自体、放送するのが難しくなるだろう。