どうしてうまくいかなかったのかを考えて、自分なりに改善点を検証する。失敗の山がどんどんと大きくなっていきながら、本当に少しずつラモスさんのイメージに近いパスを出せるようになっていきました。
イメージに近いパスを1本でも出すことができれば、「もう1本出したい」と思うものです。そうやって成功体験を獲得していき、僕なりのパスセンスを磨いていったのだと感じます。
練習と成功体験によって
シュートセンスは磨ける!
シュートセンスがあると言われる選手も、成功体験がセンスの裏づけになっているのではないでしょうか。
練習でシュートを打つ時には、「こうやって打ったらどうだろう」、「それがうまくいかないなら、こういう形はどうだろう」といった感じで、色々なトライをしています。それが試合でうまくいったら、「この感じで打てば入る」と実証されたことになる。
ボレーシュートがうまい選手は、「ボールをミートするセンスがある」と言われます。ボレーシュートはインパクト面で、ボールの芯を的確にとらえなければならないからです。これも、練習なしには磨かれない。「センスの有無」で片づけてはいけない気がします。
チームの全体練習後に、遊びの要素込みでボレーシュートを打つ、ということがありました。大まかな印象として、ディフェンダーの選手はボレーシュートがあまり得意ではない。「センスないですよ」と言う選手もいました。
しかし、日本代表でともにプレーした田中マルクス闘莉王は、センターバックでありながらシュートが抜群にうまかった。元々は中盤の選手だったから、ということのみが理由ではないでしょう。
彼は攻撃が好きで、点を取るために練習をしていた。「ポジション的に必要ないから」と割りきるのではなく、ディフェンダーでも練習すればシュートはうまくなる、ということを示していました。
シュートに加えてヘディングも
感覚を磨くことはできる
長身のセンターバックは、セットプレーで空中戦のターゲットになる。ヘディングで得点を決めてみせる。それもやはり、練習をしているからです。
シュートやパスは先天的な「センス」で、ヘディングだけは練習の成果──それは無理があるでしょう。シュートもパスもヘディングも、後天的に感覚を磨くことはできる、というのが僕の考えです。