このように、顧客の本質的なニーズを捉えないと、顧客への役立ちを最大化できません。今回のような漠然とした依頼の場合、単にどの作業を自動化するかという内容ではなく、その背景をしっかりと押さえ、隠れたニーズを見つけ出す必要があります。この一連の取り組みこそがソリューション提案です。
このような視点が欠けたまま、安易にソリューション提案を導入したことが、この企業が失敗した原因でした。現状の営業担当者のスキルを見誤っていたのです。先程のケースだと、「配膳の人手が足りないので配膳を自動化したい」という要望までは聞き出せますが、その後の「なぜそもそも配膳の人手が不足するのか」までたどり着けません。
そして、このような結果を招いたのは、「うちの営業は真面目だしそこそこ優秀だから、ソリューション提案にも対応してくれるはず」という「性善説」に基づき、準備をせずに取り組み始めたことです。
ソリューション提案は簡単ではありません。だからこそ「性弱説」視点が大切です。
個人に任せる「性善説」では
スキルによるばらつきが出る
次は、このソリューションビジネスについて「性善説」と、キーエンス流の「性弱説」の視点から見ていきましょう。下の図を見てください。この図は、ソリューションビジネスのフローと各段階での理想(あるべき姿)、そして、それぞれの段階で「性善説」「性弱説」の視点に立った場合にどうなるかを示しています。

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第1段階は「(1)ニーズ把握」です。ここでは、いかにニーズの本質を捉えられるかがカギとなります。次の「(2)解決案検討」では、第1段階で見定めたニーズに対する解決案を検討します。第1段階でニーズを見誤ったら、ここでの修正はできません。