次は「(3)導入可能性模索」に進みます。何らかの解決案を見つけ出したとしても、顧客にとって費用対効果が高くなければ導入に至りません。また、店内のスペースの問題など、物理的に導入できるかといった面での導入可能性も検討します。最後は、「(4)顧客への提案」です。(1)~(3)がしっかりとできていれば、それほど難しくありません。
上段は、「性善説」に基づいたフローです。基本的な方針について、性善説では、各個人に任せれば十分できるという前提に立つので、「個人に任せる」となります。しかしながらこの方針だと「(1)ニーズ把握」の段階で、先ほどの自動化事例のように本質的なニーズが拾えず、質の高いソリューション提案につながらないケースが増えます。仮に本質的なニーズを収集できる優れた社員がいても再現性がなく、他の人がそれを習得できないので、社員ごとの成果のばらつきが大きくなります。
「性弱説」アプローチで
本質的なニーズを引き出す
次に、下段の「性弱説」によるアプローチを見てみましょう。ここでの方針は、それまでの類似の成功事例の活用です。最も難しい「(1)ニーズ把握」の段階では、各個人のヒアリングスキルに依存しない仕組みを考えます。似たような成功事例を顧客に打診して、顧客から本質的なニーズを引き出しやすいアプローチ方法を構築します。
先ほどの配膳自動化ニーズの顧客であれば、性善説に立つと、「なぜそれが必要なのか」という顧客への突っ込みを各個人がする必要に迫られます。一方、「性弱説」アプローチでは「配膳の人手不足対策で、タブレットを使った注文システムを導入し成功している顧客がいます。貴社でも当てはまるのではないでしょうか」などと、他社での成功事例を確認してもらうところからスタートします。
このやり方には2つの利点があります。1つは、他社の成功事例を話しているだけなので、営業担当者のスキルによるばらつきが発生しにくい点。事前に部署で用意した資料を使うなど、共通ツールを使うとさらに難度が下がり、ばらつきが減少します。