ガソリンタンクの容量が56→53リットルに
F:厚さ方向は車高を上げて対策した。長さ方向はどうやって解決したのですか?
五:これは……言っていいのかな?いいですよね。カタログを見れば分かりますし……。実は大きなバッテリーを積むために、ガソリンタンクを削りました。タンク容量は56リットルだったのが53リットルに。前よりも3リットル少なくなっています。結局、ホイールベースの間にしか大きな物を置く場所がないので、電池が攻めてくると他のものがどんどん押しつぶされてしまうんです。
F:まあでも、3リットルくらいならね。
五:とんでもないッッ(えらい剣幕で)!燃料容量を3リットルも減らすって、これはメーカーにとっては大事件。大変な決断です。それはもう、社内でものすごくやり合ったんですから。
F:「燃料容量は減らせないよ」という人がいたんですか?
五:普通はそうですよ。普通の感覚なら、減らす方向へ行こうとすると、たいていは反対する。だからそこは膝詰め談判で、「航続可能距離は減らしませんから」と説明をしたんです。燃料3リットルが減る分の走行距離は、バッテリーの増量で担保するから、と。
バッテリーのメーカーは、親会社の意向で決まるのか
F:マイナーチェンジでバッテリーのサプライヤーが変わったと聞きました。
五:はい。元々はAESC(オートモーティブエナジーサプライ)でしたが、今はLEJ(リチウムエナジージャパン)です。
F:AESCは日産系の会社ですよね。日産は三菱自動車の株式34%を保有しています。親会社ではありませんが、それなりの影響力はあるでしょう。グループ外の製品に変えてしまって大丈夫なのですか?
五:そこはどうなんだろう。経営マターになってしまうので、我々がどうこう言える話ではありませんが、基本的に技術サイドは「そのクルマに合った最適のバッテリー」を選んでいます。「いいからこの会社のバッテリーを使え!」というような圧力はありませんね。先代はもともとGSユアサのLEJで、それが途中からAESCに変わりまして。
F:や、そうだったんですか。先代はGSユアサからAESC?
五:はい。それが今回は、スタートがAESCで、途中からGSユアサのLEJ。
F:なんと!PHEVにとって最重要部品であるバッテリーが、かように目まぐるしく入れ替わるとは。
五:そのときそのときのクルマで、最適のバッテリーを選ぶので。