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たとえば、筋肉をしなやかにするIL-15やフォリスタチン、高血糖の人の血糖値を下げるイリシンやFGF-21、バイバ、スパーク、メトロン、高血圧の人の血圧を下げて血管の炎症を抑えるアペリン、脳のアストログリアにはたらきかけて睡眠覚醒リズムを整え、夜の睡眠の質を高め、海馬を刺激して記憶力を高め、アルツハイマー病を予防し、認知症の症状を改善するIL-6やBDNFなどが知られています。
これら多彩な生理活性物質が分泌されることが、運動によって健康が増進する理由の1つです。
運動には体内時計に働きかけ
生活リズムを整える効果も
運動の効用でもう1つ注目すべきは、運動が体内時計にはたらきかけて、サーカディアンリズム(編集部注/生物に存在する約24時間周期のこと)のリズム性を高めることです。ラットを用いた動物実験では、夕方(19時:ヒトでは朝に相当する時間)の運動のほうが朝(7時:ヒトでは夕方に相当する時間)の運動よりも、サーカディアンリズムを強くする遺伝子群の発現が多いことが報告されています。
運動には、乱れた体内時計を修復する作用があります。筋肉から分泌されるマイオカインは、筋肉時計のBmal1(ビーマルワン)という時計遺伝子(編集部注/生体の24時間周期の変動を制御する遺伝子)にはたらきかけて、乱れた生体リズムを適正な約24時間の周期長に修復し、振幅(めりはり)の大きい生体リズムに再構築していくからです。マイオカインは前述のように、筋肉だけではなく、体中の細胞にも作用して、さまざまなホルモンの生体リズムを整え、健康な体と心を取り戻してくれます。
運動とともに血中に増えてくる乳酸は、オレキシンというホルモンを活性化して自律神経ネットワークの「島」にはたらきかけて、仕事の効率を高めます。運動は、筋肉だけではなく、膵臓や肝臓、腎臓などの臓器や脂肪組織を刺激して、血中にインスリンやキヌレニン、グレリンなどのホルモンを増やします。