これらのホルモンは、オレキシンと一緒になって体内時計にはたらきかけ、乱れかかったサーカディアンリズムの1日の長さを調整してくれるのです。その結果、眠りと目覚めのリズムが整い、その日の活動量に応じた深い眠りに導いてくれます。
その他にも、運動をすることで体の細胞が低酸素状態に傾いてくると、低酸素環境で力を発揮するHIF-1α(編集部注/低酸素状態に適応する遺伝子発現調節因子。代謝、細胞増殖、血管新生などの細胞プロセスを制御)を活性化し、体内時計を微調整して、新しいしくみの体内時計に組み替えてくれます。振幅の大きいパワフルなサーカディアンリズムに替えることで、病気を未然に防いでくれます。
このような成果をふまえて、「時間運動学」という学問分野が提唱されてきました。
体内時計を整えるためには
いつ運動するのがいいか
体内時計の乱れを治すためには、「いつ運動するか」も重要です。
朝の運動は体内時計の針を進め、夕方の運動は体内時計の針を遅らせます。体内時計がどのようにずれているかを見極めてから運動すると、乱れた体内時計を修正できます。たとえば、体内時計が遅れがちの若い世代には朝の運動を、体内時計が進みがちな高齢者には夕方の運動がおすすめです。

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健康を維持し、病気を防ぐためには、いつ運動するのがいいのでしょうか?時間治療の視点から、数多くの研究が報告されています。
たとえば、筋肉のしなやかさや筋力は、1日の中で16~18時が最高になります。したがって、自転車競技のような中等度の競走競技は、朝(8時)よりも夕方(18時)のほうが好成績が出やすいといえます。競技の継続時間も、夕方のほうが長く続けられます(朝の272分に対して、夕方では334分という実験結果があります)。