日本郵便の従業員は17万1804名(2024年3月31日現在)だが、2012年は20万601人もいた(会計監査院調べ)。つまり、12年前から3万人近く減って、85%のマンパワーに削減されたのだ。

 そうなれば当然、郵便局ネットワークも85%程度に縮小していなくてはおかしい。デジタル化だなんだと言ったところで、まだ日本では手紙も郵便も「人力」で運んでいるし、郵便局の窓口業務も人がやっているからだ。

 しかし、恐ろしいことに郵便局はほとんど減っていない。日本郵便によれば2012年10月1日時点で全国に2万4233局があった。そこから12年を経て25年1月末にどうなったかというと2万3496局。97%に微減しただけでほぼ横ばいだ(日本郵便「郵便局数の推移」)。

 ちなみに、これは「法律」でそう決まっていることが大きい。ただ、総務省の郵便局活性化委員会の「諸外国の郵便サービス」(平成30年12月7日)によれば、日本の面積約37.8万平方キロメートルと近いドイツ(約35.7万平方キロメートル)の郵便局は1万3000局。ドイツは日本よりも4000万人ほど人口が少ないことを差し引いても、2万4000局というのは「異常」だ。しかも、既に日本は年間89万人の人口が減って、多くの自治体が「消滅」の危機に瀕している。

 こういう明らかに「異常」なことがまかり通っているのは、自民党が全国の郵便局を「票田」としている政治的な理由のためだという指摘もある。実際、全国郵便局長会の組織内候補、柘植芳文の得票数(2019年参院選)は60万票で、自民の比例代表のトップで、日本医師会やJAの組織候補など足元に及ばない「集票力」を誇っている。

 いずれにせよ、人は3万人も減っているのに「器の数」は変わらないとなれば、子どもにだって現場の負担がすさまじく重くなっていることはわかる。そこに加えて、メールやSNSの普及、クロネコヤマトや佐川急便という「競合」の台頭も追い討ちをかける。