そんな中で日本郵政からは「もっと利益を出せ」「郵便局ネットワークをもっと親しみをもってもらえ」という無理難題ばかりが突きつけられる。現場の人間からすれば、「もうやってられっかよ」とモラルがぶっ壊れるというのは容易に想像できよう。

 日本がまともな国ならば、赤字や過疎地の郵便局を集約・合理化を進めて、1万程度に集約をさせようという話になるだろう。17万人の郵便局員たちにも効率的かつ、生産性の高い仕事をしてもらって、「稼げる組織」に生まれ変わらせよう、と国民の代表である政治家が動くはずだ。

 しかし、日本ではそういう話は「タブー」視される。先ほども言ったように、自民党などの「オトナの事情」があるので、どれほど赤字を垂れ流そうとも、郵便局に訪れる人が減ろうとも「2万4000局がキープされる。つまり、これからさらに現場のモラルハザードは続いていくということだ。

「サービス利用者を笑い物する動画」や「不適切点呼」は、これから続々と表面化していく「郵便局クライシス」の序章なのかもしれない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

日本郵政、モラルがぶっ壊れてる…「すっぴん動画」「不適切点呼」から始まる「郵便局崩壊」の現実味