2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

子どもにとっていちばん嬉しいのは、「母親がイキイキ幸せそうにしている」こと
仏教には、「大乗仏教」と「小乗仏教(上座部仏教)」があります。
大乗仏教とは、「大きな乗り物」を意味していて、「困っている人、苦しんでいる人をたくさん乗せて、彼岸に行きましょう」という考え方です。
一方、小乗仏教は、「小さな乗り物」の意味で、「自分が悟ればそれでよし」という考え方です。
私はこれまで、たくさんの相談を受けてきましたが、相談者の98%は、「自分以外のこと」で悩んでいるようです。
「自分が今、こういう状態で困っている」といった悩みではなく、「妻がこうだ」「夫がこうだ」「子どもがこうだ」「上司がこうだ」「部下がこうだ」……、という「自分の外側にいる人」の悩みや、苦しみや、矛盾をかき集めているように思います。
基本的なことを言うと、私たちにできることは、「自分が笑顔になること」「自分が太陽になること」だけだと思います。
自分の外側にいる人の悩みは、自分のことではないのですから、解決できなくて当たり前なのです。
ですから、「まず自分が、明るく、幸せになりましょう」というのが私の提案です。自分が、明るく素直に生きていれば、結果としてまわりにもいい影響を与える可能性があると思います。
私は、小乗仏教的に生きています。
自分は何も背負っていないし、世の中を変えようとも思っていません。ただ、自分が、明るく、幸せになれるように実践しているだけなのです。
あなた自身が、笑顔の素敵な「太陽のような人」になって、ひたすら幸せな光を投げかけていけば、まわりの氷は、自然と溶けていくでしょう。そういう溶かし方を取り入れてみませんか?
たとえば、今まで不登校の子どものことで悩んでいた母親が、ある日突然、「ヨガだ、テニスだ、フラダンスだ」と、にこやかで楽しそうな毎日を送るようになったら、子どもはどう感じるでしょう?
「いったいお母さんに何が起こったのだろう? どうしたらお母さんみたいに楽しくなれるのだろう」と不思議がるのではないでしょうか。
そして、母親を手本にして、「お母さんみたいな生き方のほうが楽しそうだな」と思うかもしれません。
もともと、親にも学校の先生にも、子どもを育てる能力はないと私は思っています。
「子育て」というのは、「ただ自分の生き方を、手本として子どもに見せること」だと思うのです。
子どものことを気に病んでばかりで、いつも暗い顔をして笑顔がなかったら、子どもは、そんな母親を真似しようとは思わないでしょう。
本当に子どものことを考えるのなら、早く自立させてあげることが大切だと思います。それには、子どものことを心配して気にしている親が、まず「気にならない親」になることです。
ただひたすら、「自分の人生」を幸せに生きる。「子どもの面倒を見る人生」から、「自分の面倒を見る人生」に変わる。
子どもにとっていちばん嬉しいのは「母親が、いつもイキイキして幸せそうにしていること」だと思います。
おもしろいことに、母親が自分の心が喜ぶ生き方をしていると、あれほど気になっていた子どものことも、やさしい気持ちで見守られるようになっていくようなのです。