いつも謙虚で控えめなのに、なぜか一目置かれる人がしていることとは? 世界で話題となり、日本でも20万部を超えたベストセラー『「静かな人」の戦略書』の著者、ジル・チャンが待望の新作を刊行。謙虚な人ならではの作戦を伝授する『「謙虚な人」の作戦帳――誰もが前に出たがる世界で控えめな人がうまくいく法』だ。台湾発、異例のベストセラーとなっている同書より、特別に内容の一部を公開する。

こんなとき、「親友」ならなんて言う?
マグカップに書かれているフレーズで、私がいちばん好きなのは「何者にでもなれるこの世界で、優しくあれ」というものだ。
読者のみなさんにこの言葉を伝えると、内向型で繊細なみなさんは、きっと「他人への思いやり」を最優先事項に持ってくるだろう。
だからこの一言を付け加えておく。「いちばん大事なのは、自分に優しくすること」。
この話をSNSでしたら、案の定、コメントが殺到した。その多くが「どうやって自分に優しくすればいいんですか?」という質問だった。
つい自己否定してしまう感覚に対処するアプローチのなかで、いちばん効果があると思うのは、自分を支持してくれるバーチャルな親友を持つことだ。
この親友はあなたのことを理解し、すべてにおいてあなたのことを考え、無条件にあなたを支持し、強いポジティブなエネルギーを発し、どんな状況であれ、とことんあなたに忠実だ。
そう、まるでドラマに出てくるような親友だ。
もしくは完璧につくられたAIを想像してもいいだろう。
「バーチャル親友」をイメージする
ネガティブ思考や自己不信が頭をもたげるとき、私はいつも「バーチャル親友ならなんて言うだろう?」と考える。
こんなにも私のことを思ってくれる親友なら、きっと迷うことなく、こう言うはずだ。
「あなた、本当に自分を疑っているの? ばかね、これまでにやってきたことを思い出してごらんなさいよ。私が知っているだけでも○○のプロジェクトをやりとげているし、ボーナスまで獲得したでしょう。クライアントの××社はずっとあなたの担当だし、上司も交替を考えていないということは、あなたの対応に満足しているってことじゃない。今回の案件だって、何も尻込みすることはないよ!」
当然、疑い深い自分も黙ってはいない。
「まさか。前のプロジェクトは運がよかっただけ。本当はもう少しで失敗するところだったんだから。おかげで冷や汗をかいたよ。あのクライアントだって、先方が優しくて難しい要求もしないからうまくいっているわけで、私はごく普通のサービスを提供しているだけ。でも今回の案件は違う! インドのクライアントを担当するのは初めてなんだから。彼らはものすごい値引きを要求してくるし、めちゃくちゃ電話をかけてくるって聞いたよ。扱う金額も大きいし、私には荷が重すぎて絶対に耐えられない!」
バーチャル親友が返す。
「値引き交渉がすごいからって、命まで取られるわけじゃないでしょう? 電話の嵐がなに? 先方はインドにいるのよ。前のクライアントみたいに、直接押しかけてくることもあり得ない。金額の大きさが関係ある? やることはどれも似たようなものじゃない。みんなただの数字よ」
少々大げさなセリフに思えるかもしれないけれど、私の言いたいことは伝わったのではないだろうか。
バーチャル親友があなたを応援してくれるように、あなたも自分を応援するべきなのだ。
あなたのいちばんの親友は、あなた自身なのだから。
あなたがトラックを懸命に走っているとき、あなたの応援団はなんて言うだろう。
「いいよいいよ、その調子。もう少しだよ!」、それとも「ゴールするのは無理だよ、きっともうすぐ足がつる。走るのやめない?」だろうか。
さあ、自分の応援団をつくろう!
(本記事は、ジル・チャン著『「謙虚な人」の作戦帳』からの抜粋です)