・心血管系疾患とがん予防のためのベータカロテンサプリメントはベネフィットより害のほうが大きい。ビタミンEサプリメントにはベネフィットはない。

・心血管系疾患とがん予防のためのマルチビタミンサプリメントはベネフィットと害のバランスを決めるための根拠が不十分。

・心血管系疾患とがん予防のための他の単一あるいは組み合わせサプリメントはベネフィットと害のバランスを決めるための根拠が不十分。

・それとは別に妊娠可能性のある人は毎日0.4~0.8mgの葉酸を摂るように。

(2)米国で肝障害が報告されている6つの植物成分

 米国の医師たちは、薬物誘発性肝障害ネットワーク(DILIN)という監視計画で患者の肝障害の動向を調べています。このネットワークに報告された、肝障害の原因になる可能性の高いサプリメントが以下の6つです。

・ターメリックあるいはクルクミン(ウコン)

・緑茶

・ガルシニア・カンボジア

・ブラックコホシュ

・ベニコウジ

・アシュワガンダ

 これらについては避けた方が賢明でしょう。

 ただしここで緑茶というのは茶カテキンを主成分とするサプリメントのことで、煎茶を日常的に飲むことによる被害はないと考えられます。一部の人たちは、日本人は緑茶をよく飲むのであまり太っていない、だから緑茶をサプリメントで摂ればいい、と緑茶を宣伝しています。

 そしてDILINでも、2000年代初めから紅麹サプリメントについて注意喚起をしていたことに、改めて注目したいと思います。ターメリックについては、加工によってこれまでとは異なる性質を持つ可能性があるため要警戒です。

「がんに効く食品」は信じちゃダメ?
トマトも卵も“真逆の研究”が存在

 テレビや雑誌などで、ある食品にはがんを予防する効果があることがわかった、別の食品は発がん性があるらしい、といったニュースがしばしば報道されます。その情報源はどこかの大学の研究論文かもしれません。

 外国の名門大学の研究者が有名な雑誌に論文を発表したと聞くと、信用できる情報なのではないかと思ってしまうかもしれません。

 ですが、少し待ってください。