「本当に運がいい人」になるために必要な「たった4文字」の戦略とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「本当に運がいい人」になるために必要な「たった4文字」の戦略とは?Photo: Adobe Stock

「運のいい人」の戦略

 運のいい人は、「タダ乗り」という戦略をとります。

 SNSなどの場を使い倒すのです。
 ただ、SNSに限らず、他の分野でもタダ乗り戦略は効果的です

 たとえば、「婚活」という言葉が広まった後に、「腸活」「推し活」「脳活」といった新しい言葉が続々と生まれました。

 これは「〇〇活」というフレーズにタダ乗りすることで、ゼロからコンセプトを説明する手間やコストを省くことができるからです。

 独自性(ユニークネス)が時代によって変わり続けるのと同様に、タダ乗り(フリーライド)すべき基盤も時代によって移り変わります。

「どこまで独自性を発揮し、どこからタダ乗りするのか」を適切に判断することが、極めて重要な戦略になります。

 あらためて、「タダ乗り」という、たった4文字の戦略を押さえておきましょう。

「独自性」と「タダ乗り」のバランス

 多くの成功は、この「独自性」と「タダ乗り」の掛け合わせから生まれますが、状況に応じてこのバランスも変わります。

 独自性が高い場合は、タダ乗りする基盤が弱くても成果を出しやすくなります。

 一方で、独自性が低くても、成長している基盤にフリーライドすることで、規格外の成功が実現することもあります。

 もちろん、タダ乗り戦略以外で大成功する方法も存在します。

・何千億円もの赤字に耐えながら投資を続ける戦略(AmazonやSpaceX、PayPay)
・セレブリティを巻き込む戦略(InstagramやTikTok)

 これらは一部の限られた人々や企業が取れる戦略なので、多くの人にとっては参考にするのが難しいかもしれません。

「タダ乗り(フリーライド)」と聞くと、寄生的でネガティブなイメージを持つかもしれません。

 しかし、逆にタダ乗りされる側になることで、その存在がより盤石になるケースも多々あります

 たとえば、「ビットコイン」はソースコードが公開されているため、第三者がこのコードをカスタマイズして独自の暗号通貨を作成できる環境を提供しています。

 こうして、イーサリアムをはじめとする、さまざまなアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)が誕生しました。

 この流れによって、ビットコインは暗号通貨市場における「基軸通貨」のような存在となり、その地位は盤石なものとなりました。

タダ乗りして「ゆるストイック」に生きろ

 また、格闘家の朝倉未来さんは、YouTubeを活用して有名になりました。

 その後、「Breaking Down」という企画を通じて、他の人が有名になるチャンスを提供することにより、さらに成功を拡大させています。

 つまり、朝倉未来さんはYouTubeにタダ乗りして自身の成功を収め、その後「Breaking Down」という基盤に他者からタダ乗りされる側に立つことで、その成功をさらに盤石なものにしたと言えるでしょう。

 このように、タダ乗りされる対象になると、その存在は「インフラ」のように不可欠なものに近づき、結果的に影響力や支配力が強まることが多くなります。

 独自性を発揮して他の基盤にタダ乗りし、次にタダ乗りされる対象になることで、成功はさらに確固たるものになっていくのです。

 ということで、「独自性」を考えつつ、「タダ乗り」をしていく。
 その姿勢こそが、「ゆるストイック」という考えなのです。ぜひ、覚えておいてください。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。