「なぜか運がいい人」は天才を打ち負かす。その真実とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「なぜか運がいい人」は天才を打ち負かす。その真実とは?Photo: Adobe Stock

天才を打ち負かす凡才の存在

 この世界では、「天才を打ち負かす凡才」は、珍しいことではありません。
 あなたの周りにもいませんか。

・素晴らしい才能を持ちながら評価されない人
・そこまで優れているわけではないのに大成功している人

 そんな人たちを見て、不思議に思ったことがあるかもしれません。
 その理由は、シンプルです。

・「優れた才能」を持つこと
・それが世の中で「独自性」を発揮できること
・そして何かにタダ乗りして「運」を味方につけること

 これら3つの要素は、それぞれまったく別のことだからです。
 この3つの要素を積極的につなげる努力をしなければ、優れた才能も宝の持ち腐れになってしまいます。

競争を避ける努力をしよう

 才能があるだけでは不十分で、それを独自性に変える努力が必要です。
 また、その独自性を発揮するには、適切な舞台に立つことも求められます

 そして、特に「運」が支配する世界では、意外にも才能が豊かな人ほど不利に働くことさえあるのです。

 才能に恵まれた人は、しばしば高い目標を掲げ、強力なライバルと競うことを厭わず、競争に巻き込まれやすい傾向があります。

 なぜなら、自分が勝てるという「自信」があるからです
 その結果、強者の中に埋もれ、独自性を発揮できずに終わることも少なくありません。

 一方で、自分のことを「天才ではない」と自覚している人は、徹底して強者との競争を避ける努力をします

 わずかな強みを分析し、その強みを最大限に発揮できる「環境」を探し、すでに存在する基盤をフル活用することにも躊躇しません。

 こうした人は、タダ乗り戦略にも自然とたどり着きやすいのです
 つまり、優れた才能がある人は、競争に巻き込まれて「独自性」を発揮できなかったり、「タダ乗り」を避けて自力で切り開こうとするために「運」を味方にできないといった戦略的なミスを犯しやすいのです。

「ゆるストイック」に生きよう

 また、多くの人は、「自分が面白いと思うものは他人も面白いと思うはず」という認識を持っています。

 しかし、特殊な才能を持つ人はその感性が人々とズレていることも多く、独自性を発揮する際に苦労することでしょう。

 たとえば、白亜紀に生息していたティラノサウルスには天敵がいなかったと考えられています。

 しかし、その後の氷河期を生き抜いたのは、環境に適応した小さなネズミやゴキブリでした。

 つまり、圧倒的な才能が、環境適応において必ずしもプラスに働くわけではなく、むしろ邪魔になることすらあるということです。

 運が支配するこの世界では、「才能に頼る者」よりも「環境を味方につける者」のほうが成功に有利です。

 ほんの少し他人より優れた特徴があれば、それだけで十分にチャンスを掴むことができるのです。

「独自性」と「タダ乗り」という2つの話を軸に、成功の本質について語ってきました。
 これを理解することで、「ゆるストイック」に生きる方向性が身に付くはずです。

 自分が向き合うべきこと。
 自分が手を抜くべきこと。

 この2つのポイントが整理できたら、あとは、それを実践するだけです。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。