「なぜか運がいい人」だけが知っている「たった4文字の概念」とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「タダ乗り」をしよう
成功において最も重要な要素、それは「運」です。
世の中には、なぜか運のいい人がいます。
そして、その人たちは、無意識のレベルで「タダ乗り」という、たった4文字のプロセスのことが頭に入っているのです。
実際、成果の大半は、「タダ乗り」のプロセスで生じ、本人のコントロールを超えて予想外に大きな成功をもたらすことが多いのです。
「タダ乗り」という言葉には悪いイメージがあるかもしれません。
ここでは、「すでに存在している基盤を最大限に活用する」という中立的な意味で使っています。
もし、うまく独自性を発揮できたとしても、それだけでは大きな成果にはつながりにくいでしょう。
規格外の成功を収めるには、「べき乗則」が支配する世界に身を移す必要があります。

べき乗則が支配する世界では、人気者がさらに人気を得るというループが無限に発生し、指数関数的な成果が短期間で舞い込むのです。
そのために必要なのが、「すでに存在している基盤に乗っかる」ということです。
この基盤とは、プラットフォーム、サービス、ソフトウェア、コンセプト、イデオロギーなど何でも構いません。
現代で最もわかりやすい例が、「SNS」でしょう。
YouTubeやInstagramなどを使えば、一瞬で世界中の何十億人に自分の活動を知ってもらうチャンスがあります。
投稿や動画がバズることで、たとえ些細な内容であっても、一夜で何十万人、何百万人に認識されるという現象が日常的に起きています。
そして一度でも拡散が始まると、その結果を個人で完全にコントロールすることはできなくなります。
話題が話題を呼び、人気が人気を呼ぶ形で、予期せぬ拡大が続き、地球の反対側の人々や、自分が憧れるスターにも認知される可能性が生まれるのです。
「基盤」を使いこなす
ここで重要なのは、「独自性」を発揮することにストイックに集中し、それ以外はすでに世の中に存在している「基盤」をゆるくフル活用する姿勢です。
たとえば、現在のトップユーチューバーたちがYouTubeというプラットフォームに乗らず、自前で動画配信サービスを立ち上げていたとしたら、今のような成功を収めていたでしょうか。
おそらく、その可能性は低いでしょう。
独自の素晴らしいコンテンツを作り出せても、ゼロから動画配信サービスを開発し、視聴者の増加に伴いサーバーを増設するコストを負担することは、現実的には困難です。
ユーチューバーたちはYouTubeという既存のプラットフォームに「タダ乗り」することで成功し、YouTubeはユーチューバーたちに魅力的なコンテンツを無償で提供してもらう「タダ乗り」をすることで成長しました。
これは、相互依存の関係と言えます。
ぜひ、この姿勢を身につけ、ご自身の仕事にも役立ててください。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。