30年ほど前、新宿の歌舞伎町で飲んだ帰りに〆で東口の老舗ラーメン店に立ち寄りました。今と違って深夜に空いている、おいしいラーメン店は少ない時代で、その九州ラーメン店には短い行列ができていました。少し並んで席に通していただいたときです。

目の前には二人組の酔客がいたのですが、そのうちのひとりの様子がおかしいのです。それで見ていると突然、目の前で嘔吐を始めました。
「うわぁひどいことになった」と目を丸くしているとすぐに店員が飛んできて、私に謝罪して、あちらの席に移ってくれと別のテーブルに案内してくれました。
嘔吐した客は連れに介抱されてお店を退出しました。その頃にはお店の中で働いていたほぼ全員が出てきて、自発的に分担してテーブルを片付けたり、近くの席の客に謝りながら移動をお願いしたりしていました。いつも混雑するお店なのに急にがらがらになってきたと思ったら、入り口では別の店員さんが謝りながら、行列に並ぶひとたちを入店させずに待っていただくというオペレーションをしていました。
それで敷物を撤去して、床をモップで拭いて、現状回復が終ったところで、ようやく営業再開です。お店に新しいお客さんがつぎつぎと入ってきて再び満席に。私には年配の店員さんが謝りながら、ラーメンに味玉をおまけしてくれました。
深夜の新宿で嘔吐する客が出るのは仕方がないとして、当時私はこのお店は衛生管理も顧客対応もしっかりしているお店だなと感心した記憶があります。
そのような経験と今回の事案を比較してみるとおかしいことに気づきます。焼肉きんぐの事案では投稿主が店員に意見を伝えたところ、「責任者はいない」「本社にも繋がらない」と謎の理由で待たされて、食欲がなくなって後半食べれなくなったと投稿しています。
この違いを表面的に解釈すると、焼肉きんぐの店員は接客力がしっかりしておらず、私が行ったラーメン店の店員は全員が不測の事態でもすばらしい接客力を発揮したように見えます。人材力の差が出たように見えるわけです。