いよいよ暖かくなってきた今日このごろ、ゴールデンウィークに向けてワクワクしている人も多いのではないだろうか。そんな中、ぜひおすすめしたいのが世界最高の創造集団IDEOのフェローによる画期的な本、『Joyful 感性を磨く本』(イングリッド・フェテル・リー著、櫻井祐子訳)だ。
著者によると、人の内面や感情は目に映る物質の色や光、形によって大きく左右されるという。つまり、人生の幸不幸はふだん目にするモノによって大きく変えることができるのだ。
20ヵ国以上で刊行され、世界的ベストセラーとなっている本書の驚きの内容とはどのようなものか。特別に一部を紹介したい(こちらは2020年10月7日の記事の再掲載です)。

人は「軽やかさ」に惹きつけられる
喜びの研究を続けるうちに、人は浮かんだり飛んだりするものに自然と引きつけられることに気がついた。虫はふだんはほとんど人目を引かないが、どこからかやってきて庭をひらひら飛びまわる蝶は愛おしまれている。バードウォッチングや凧揚げ、グライダーに日がな一日興じる人もいる。
また夏の午後、ピクニックバスケットを空っぽにしてアイスティーとレモネードを飲み干したあと、草に寝転んで雲の動物たちが頭上を通り過ぎていくのを眺めることほど、うっとりすることはない。
浮かんでいるものは、間接的な超越感を与えてくれる。何かがサッと舞い降りたり風を受けて進んだりするのを見ると、自分の足は地面を踏みしめているのに、心が躍るのだ。
とはいえ、モバイル機器が生活に浸透するなか、私たちの注意はますます下向きに引っ張られている。スマホを眺める時間が長くなり、首に深刻な負担がかかっている。研究によると、スマホを見下ろすと頭が27キロもあるように感じ、首にかかる負荷は最大で5倍にもなるという!
また多忙がよしとされるこの文化では、のんびり空を見上げることは、なまけ者や夢想家だけがふけるうしろめたい喜びのように感じられる。この無為な時間の過ごし方を擁護するために、イギリスの雲愛好家ギャヴィン・プレイター=ピニーは、雲ウォッチングのガイドブック『「雲」のコレクターズ・ガイド』(河出書房新社)を書き、「雲を愛でる会」を立ち上げて、4万3000人を超える会員を集めている。