「その手の話は、てんこ盛り」
“問題ドライバー”の正体に絶句
そうして、どんどん時間が過ぎていく。添乗員である私も、ほかの参加者たちも、いらだちがつのるばかりだ。そこで私が間に入って何とかツアーは再開することになった。
しかし、雰囲気がよろしくないのだ。それはそうであろう。とくに突然に相席にさせられた2人は楽しくない旅となったであろう。
その怒り狂った人はアンケートにドライバーのことをメチャクチャに書いた。その人にとってみれば当然のことであろうが。
結局、その日のツアーは1時間半の遅れで終了となった。バスの交換と1人参加の人が怒ったこと以外は、とくに問題も起きなかったのである。
そのツアーのあとに例のドライバーの所属するバス会社に再び乗った。もちろんドライバーは別の人だ。
今日のドライバーに先日のトラブルの話をする。すると、たいしてびっくりもせずに、「あの人にはその手の話は、てんこ盛りですから」とのこと。
どうやらサイドミラーを壊したドライバーは腕としては札つきものということか。誠実そうな感じがしたが、これまでにも問題ありありだったのだ。
あの缶コーヒーを即座に買ってきて配るなど手際がよかったのは、逆にいえば、その手のトラブルの常習者ということなのか。私も目がきかないなぁ。今日は上手くいきそうだなんて思っちゃって。
それにしても、そのドライバーが運転するバスには二度と乗ることはなかった。私も添乗員としてちょっぴり運を持っていたのか。それとも、あのドライバーはクビになったのかしらん。
取りつく島もなかった
拒絶オーラ全開ドライバー
続いては東京の立川を出発して静岡へと向かう日帰りのツアーのドライバー。ドライバーは60歳前後と、その当時の私よりちょっぴり年上であった。
朝のドライバーとの打ち合わせはコースのことをいろいろと話し合ったりして、とくに問題もなかった。ドライバーは口数が少なく、ちょっと険のある目つきをしていた。