ワゴンの特徴が最も色濃く発揮されるラゲッジスペースはといえば、これはもう圧倒的に広い。後席使用時で690L、後席シートバックを倒すと1920Lもの広大なスペースが出現する。アクティブなアウトドア・アクティビティを楽しむユーザーの最強のパートナーとなるに違いない。これだけ広いフリースペースは、眺めているだけでも自然と夢がふくらむ。

SUV以上に落ち着いた雰囲気
“旅に出たくなるクルマ”

 うれしい誤算は、想像以上に取り回し性に優れる点だった。最小回転半径は5.5m。FFレイアウトながらステアリングはよく切れ、車両感覚が把握しやすいこともあり、感覚的にはゴルフと同等の気楽さでドライブできた。運転のしやすさは、SUVのティグアンを確実に上回る。

 ハンドリングもいい。低い車高がもたらすメリットが確実に生きてドライバースカーとして一級品の完成度を誇る。もちろん乗り心地も優秀。プラットフォームの新世代化とアダプティブシャシーコントロールの進化が確かに感じられた。パフォーマンスは格別速くはないが、必要にして十分な印象だった。

 パサートは、そのデザイン、スペース性、そして乗り味で、オーナーを刺激する。SUV以上に落ち着いた雰囲気をたたえ、“旅に出たくなるクルマ”という表現がしっくりくる。乗る人の確かな選択眼を感じさせる逸材である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/横田宏近 写真/横田康志朗)

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