「レイオフ」についての遠回しな答え
リモートワークの次は、聞き手みんなにとって一番の関心事だった。「ツイッターについてどのようなレイオフを考えておられるのか、お考えを聞かせていただけますか」とレスリーが切り込んだのだ。
聞き手が安心するような話が出てくるわけがないと、マークはこのとき思った。
「そうですね、状況による、でしょうか。ツイッターは、まちがいなく、もっと健全にする必要があります。つまり、いま現在は収入よりコストのほうが多くなっていて、つまり、かんばしいとは言いがたい状況です……」
かなり遠回しながら、楽観的な印象を与えようとはしているようだ。
「しっかり貢献していればなにも心配することはありません。会社を不健全にするような措置を講じることはないので、つまり、まあ、そういうことです」
慰めにあまりなりそうにない言葉だが、マークにしてみれば、そう思うのも無理はないというところだ。会社はすっかり慢心してしまった。ただ、社員がこれほど「分散」してしまうと、誰が必要で、誰がシリコンバレーライフを満喫しているだけなのかを日々判断するのは難しい。
このあともレスリーからいろいろなトピックが示された。
マスクの本音がポロリ――多様性、政治、認証にどう向き合うのか
まずは多様性をどう考えるのか。
「ユーザーを少なくとも10億人、できればもっと増やしたいですね……これが、もっとも包括的な定義だと言えるでしょう。全員が人間。これは大事です」
政治姿勢も取りあげられた。
「中道も中道だと思います。今週の選挙は例外になりましたけど、いままでは、いつも、民主党に投票してきました……政策は穏健なほうがいいと思いますが、同時に、ある程度は極端な考えも許容すべきだと思います。法律が許す範囲でそういう意見を表明することも……極左の10%と極右の10%が同じくらいツイッターに腹を立てているくらいが、おそらくは、ちょうどいいのではないでしょうか」
認証の件にも少しだけ戻った。
「トロールアーミーの編成にもっとお金がかかるようにしなければなりません」
マスク自身のツイートについても尋ねられた。
「私は怒りっぽくありません。声を荒げるとかまずありませんから。そうですね、実際にここ1年、声を荒げたことはないと思います」