直属の上司と部下が
同じ等級になることもある
年功は、勤続年数で累積する各人の功績によって等級や給与が決まる仕組みです。現時点の実力よりも累積がものを言いますから、勤続年数が長いほど処遇が高くなります。
その結果、ライン長と「どちらでもない人」の給与差は役職手当の差額分くらいで、両者似たような額だったり、場合によっては「どちらでもない人」のほうが高かったりするわけです。
これを企業側から見ると、課長ではない人にも課長と同程度か、それ以上の給与を支払うことになるため、職能資格制度は「割高なシステム」と言われています。そうでなくても「管理職になりたくない」という声も多く聞かれる中、これでは、企業自らが「管理職は割に合わない」ことを黙認しているようなものです。
若手管理職の不満の一端もここにあります。職能資格制度を採用している企業も定期昇給を廃止したり、降格制度を導入したりと、さまざまな改編を行ってきていますが、管理職層については職責や役割の重さと給与処遇との不整合が大きすぎて、もはや職能資格制度のリニューアルではどうにもならない企業が増えているということです。
ちなみに、職能資格制度では、ずっと同じ課長ポストに就いたままでも「部長が務まる能力」があれば部長相当の等級に昇格できます。つまり、直属の上司と部下が同じ等級になることもあるわけです。
社員側からすると職能資格制度は昇格余地が大きく、優しい制度だという見方もできますが、大きな矛盾を孕んでいます。
中高年層の給与カーブは
定年まで昇給する企業が33.0%で最多
管理職層ほどではないにしても、仕事と処遇の不整合は一般職層でも見られます。40代前半くらいまでは第一線で仕事をバリバリこなして、管理職手前の等級まで順調に昇格する人は珍しくありません。「ふつうの会社員」の典型像と言えます。
まさに各部門の基幹戦力として期待されているミドルパフォーマーです。そこまではよしとして、問題はここからです。
中高年になるにつれ、勤続疲労やマンネリ、陳腐化でパフォーマンスが落ちていく人もいます。ベテランになると周囲からの期待値が上がってくるので、これまで通りのパフォーマンスや仕事ぶりを維持しても、ミドルパフォーマーだったはずが、いつの間にやらローパフォーマー扱いです。