
多くの有名企業で進む、欧米式「ジョブ型雇用」。管理職試験を廃止して若手を管理職に抜擢し、その効果は各社で出てきている。年齢に関わらず適所適材で管理職に登用されるのが、令和のビジネスパーソンにとって大きな魅力だ。そんななか、昭和から企業を支えてきた「ふつうの会社員」は、どこまで昇格できるのか?専門家が解説する。※本稿は、藤井 薫『ジョブ型人事の道しるべ キャリア迷子にならないために知っておくべきこと』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ふつうの会社員」は
どこまで昇格できる?
ジョブ型人事制度(編集部注/企業が職務内容とスキル、経験、資格などを限定して従業員を採用する、欧米では一般的な雇用形態)の厳しさの根源は、昇格・降格運用にあります。
たいてい給与レンジは等級ごとに絶対額管理されており、一般社員層の各等級の給与レンジは数万円程度なので、社内で処遇をそれなりに上げていこうとすれば、昇格していく必要があります。
では、「ふつうの会社員」がふつうに働いていると、どこまで昇格できるのでしょうか。
新卒でどこかの企業に入社して5~6年、長くても10年くらい経験を積めば、多くの人は企画業務もこなす各部門のミドルパフォーマーとして働いていることでしょう。人事制度がジョブ型であっても能力主義であっても、それまでに2回くらい昇格していて、昇格に伴って給与も上がっているはずです。
「ふつうの会社員」の場合、新卒1年生よりも2年生、2年生よりも3年生のほうが仕事ができます。5年生は3年生より仕事ができる人が多いはずです。新卒は業務知識も経験もゼロからのスタートなので、伸びしろがあります。