すると、不思議なことに、どんな出来事に対しても「これはこれで悪いことばかりでもなかった。逆に良かったのかもしれない」と思えるのではないでしょうか。

 すなわち、この4つの四角形をぐるっと1周回っているうちに、この出来事の「思いがけない効果」という5つめの四角が見えてくるはずです。

父の会社が倒産→中卒で自衛隊→慶應の准教授…経営学者の人生を変えた「七転八起の四角形」とは?同書より転載

 生きていればつらい出来事はたくさん起こります。自分の無力さを嘆いたり、無情な世の中を恨んだりすることもあるでしょう。でも、七転八起の四角形を使って次の一手を見つけてみたらどうでしょう。

 また今日から立ち上がってみんなで豊かになる価値創造の道を歩めるようになります。

「俺は財産は残さんけど…」
父の一言が息子の人生を変えた

 この七転八起の四角形を使った例をいくつかみていきましょう。最初の2つは筆者が実際に使ってみた例です。

 筆者は父親が会社を倒産させたことのあおりを受けました。会社を倒産させた父は地元で塾を開きますが、徐々にそれもジリ貧になっていきました。

 公立高校に通う場合、大学は衣食住が無料で手当も出る防衛大学校以外の選択肢がないという状態でした。それか、中卒で自衛隊生徒やトヨタ学園などで給料をもらって働きながら学費を貯めて好きな大学にいくか、という選択を迫られたのです。

 筆者の人生における行動原理は「可能性が広がるほうへ進む」です。そこで、後者(自衛隊生徒・少年工科学校で三等・二等・一等陸士として働きながら勉強する道)を選びました。

 なお現在では、自衛隊生徒は高等工科学校生徒という防衛大学校の学生に近い位置づけに変わりました。しかし、当時は階級を持ち昇進もする自衛官でした。

 筆者の父・岩尾俊志は型破りな人でしたので、よく「苦労したでしょう」と言われてきました。筆者の嫌いな言葉だと「親ガチャに外れた」などと言う人もいます。しかし、筆者にとっては、貧しくなっても信念を貫く心から尊敬できる父親でした。