また、医療保険や介護保険の保険料や自己負担も、高齢者の労働所得に重い負担を課すために、高齢者が働き続けることに対して、強い抑制効果を持つ。
これらのように高齢者の就労に対してペナルティーを加える制度は、見直しと撤廃が必要だ。
生成AIを使ったリスキリング
独学カリキュラムも教えてくれる
「いつまでも働ける社会」を実現するため、政策や制度改革を求めることは重要だが、それと同時に、個人1人ひとりが、能力を維持し、高めることが必要だ。
とくに、リスキリングが必要だ。デジタル変革が進む中で、AIやデータアナリティクス、クラウドコンピューティングなどのデジタルスキルの習得も重要だ。
これらのスキルは、労働市場における競争力を保つために必要不可欠であり、それを獲得して維持するために、継続的な職業訓練と教育が求められる。グラットンとスコットも、企業や教育機関が積極的にリスキリングを支援すべきだと主張している。

デジタル技術が進展しているからと言って、付和雷同する必要はない。しかし、それは、それを自分の専門とする必要はないという意味であり、それらを無視してよいという意味ではない。最低限の知識と技能を獲得することは必要だ。
ここで注意すべきは、インターネットとAIの時代には、独学でリスキリングすることが十分に可能ということだ。ChatGPTなどの生成AIは、単に知識を与えてくれるだけではなく、独学のカリキュラムも準備してくれる。
新しい技術が提供する可能性を最大限に利用すれば、高齢者のリスキリングを大きく進展させることができるだろう。