性による役割分担を嫌う女性が
東京を目指している
東北地方は、若い女性の流出率で各県がランキング上位を占める。
山形県が2021年に県内在住の女性を中心に1121人に行った調査(編集部注:「山形県の女性の暮らし方、働き方に関するアンケート調査」。調査対象は、山形県在住または山形県へのUIJターン等に関心のある人。オンラインで実施し、回答者の約半数は20代、30代。)からも、性別役割分業に対する違和感がうかがえる。
「これまで山形県での仕事や暮らしの中でモヤモヤを感じたことは?」という問いに対して、もっとも多かったのが「女性への家庭責任の偏り」。
これに続いて「狭いコミュニティによる息苦しさ」「『男性(男の子)だから、女性(女の子)だからこうあるべき』という固定観念や慣習」が挙がった。

野村浩子 著
山形県のアンケートレポートは「一番大切なことは若い女性が『いろんな選択肢がある』と感じられることだ」と結んでいる。
男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、地域社会に根付く固定的なジェンダーバイアスを払拭しない限り、女性の地方からの流出は続くだろう。
ただし、東京の企業がバラ色かというと、決してそうではない。山西さんは先述のとおり第1志望の企業に就職したものの、時折ため息をつく。
伝統的な大手企業が導入してきた一般職、総合職という女性のコース別採用がいまだ続いており、男性管理職が一般職の女性新入社員を「女の子」とうっかり呼んでしまうこともある。
東京の大手企業でジェンダーバイアスが消えたわけではない。ただし地方と東京ではその濃さに明らかに違いがある。
その濃淡を、若い女性は敏感に感じ取っているのだ。