ステランティスの“ボンバン5兄弟”

 実は、ベルランゴには複数の兄弟車が存在する。

 同じステランティス内のブランドからは、プジョーのリフター、フィアットのドブロ、そしてシトロエンのベルランゴ。この3兄弟は日本国内で買うことができる。

 日本未発売だが、オペルのコンボも兄弟車である。さらに欧州トヨタにOEM供給しており、プロエースシティ ヴァーソ(Proace City Verso)としても販売されている。だんご3兄弟ならぬ、ステランティスのボンバン5兄弟。これらのクルマはプラットフォームもパワートレインも基本的に共有されている。どれを選ぶかはお好み次第、というわけだ。

シトロエンのMPV「Berlingo」(ベルランゴ)シトロエンのMPV「Berlingo」(ベルランゴ) Photo:Stellantis Japan

 日本国内市場におけるライバルは、ズバリ、ルノーのカングーだ。「商用車ベースの欧州MPV」界において、2代目までは圧倒的な人気で、向かうところ敵なしだったカングーだが、3代目になってその勢いは明らかに衰えている。

 理由は明確で、「カワイイ!」が売りだったカングーが大きく立派に成長して「どデカングー」になってしまったこと(2代目も発売当初は“デカングー”と揶揄された)。そして助手席の背もたれをフルフラットに倒すことができず、長尺物の搭載ができなくなってしまったことによる。

ルノーのMPV「KANGOO」(カングー)ルノーのMPV「KANGOO」(カングー) Photo:Renault Japon

 一方のベルランゴは、助手席のシートバックを倒せば簡単にフルフラットになる。この“敵失”を逃す手はない。いまこそカングーの市場を奪取する好機である。