買った株が急落……どうすればいい?――そんな瞬間に身に覚えがないだろう? 買った途端に値下がりし、パニックになって売却。ところが、その後じわじわと回復して「売らなきゃよかった」と後悔したことがある人は多いはず。逆に、損切りをためらって「そのうち戻るはず」と持ち続けた結果、含み損がどんどん膨らみ、身動きが取れなくなってしまうことも。株式投資で本当に利益を出している人は、こうした局面でどう考え、どう行動しているのだろうか? 話題の新刊『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』では、YouTubeで株式投資のアドバイスを配信し人気を博す栫井駿介氏が「利益を出せる個人投資家の思考法」をわかりやすく解説する。この記事では、特別に本書の一部を公開する。

「決算またぎ」はギャンブルか?
決算の株価に対する影響を事前に予測することは、非常に難しいと言わざるを得ません。
良い決算が出ると考えても、その結果はすでに「織り込み済み」の可能性も高く、そうなると予想通りの結果が出たとしても株価が下がることがあります。
すなわち、決算を予想して取引することは文字通り「ギャンブル」なのです。
それでは、決算をまたいで株式を持ち越すこと(「決算またぎ」と言います)は、ギャンブル的な取引だと言えるのでしょうか?
特に長期投資では、当然ながら3か月に1度の決算またぎをしなければならないことになります。
決算を受けて株価が大きく動く可能性があることは、事実として受け止めなければならないでしょう。
しかし、それをギャンブルにしない投資方法だってあるのではないかと思います。
1度の決算で会社を正しく評価することはできない
例えば、プロ野球の打者の成績を予想する場合を想像してみてください。
打席ごとに「ホームランが出る」「ヒットが出る」「凡退する」などを当てることができるでしょうか?
どんなに優秀な解説者であれ、それは難しいでしょう。
一方で、シーズンが終わった時の大まかな成績は、そこまで大きく外さずに予想できるのではないでしょうか。
例えば、現役時代のイチロー選手なら打率3割は打つだろう、大谷翔平選手ならホームラン30本は堅いだろう、という具合です。
打席ごとでその結果を予測するのは難しいですが、それを重ねれば重ねるほど、良い選手ならヒットやホームランが多くなるのです。
最終的に、トータルでの成績が評価され、選手としての価値が決まってきます。
企業もそれと同じで、「良い企業」なら「良い決算」を積み重ね、やがて株価も上昇していくのです。
もしあなたが、1回の決算が悪かったという理由で株を売っていたとしたら、それは大谷翔平選手が1打席チャンスで凡退したからと言って、彼をチームから手放してしまうようなものです。
それがいかにもったいないことであるかは、彼の活躍を見るとよくわかるでしょう。
決算後は、安値で買えるチャンスにもなる
投資にはやはり粘り強さが求められます。
いっそのこと考え方を変えてみましょう。
あなたと同じように、決算を受けて株価が下がった銘柄に対して多くの投資家が失望しています。中には、「クソ株」と悪態をつきながら投げ売りする人もいるでしょう。
もしそこで売られた企業が、実はイチロー選手や大谷選手のように素晴らしい企業だとあなたが考えるなら、そこで売られた株を安値ですかさず買い集めればよいのです。
企業を見る目があるなら、その行動はやがて大きな見返りをもたらすことになります。
(本記事は『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』の一部を抜粋・編集したものです)