黒い服のイメージが強いギャルソンですが、彼女たちが作る服はそれだけではありません。実際1990年代になり、ギャルソンの代名詞であった黒い服が徐々に浸透してくるようになると、赤を中心としたコレクションを発表するようになりました。
「私は、今までに存在しなかったような服をデザインしたいと思っています。自分の過去の作品に似たものを作りたくありません」『THE STUDY OF COMME des GARCONS』(リトルモア、2004年)
これは川久保氏本人の言葉ですが、流行に沿った「売れる服」を作ろうとする業者が多い中、その路線を捨て、新しい表現に挑戦し続ける姿勢は、誠に恐縮ながらすごいなと思います。
ギャルソンの内部でも
賛否が分かれた「こぶドレス」
90年代に発表されたギャルソンのコレクションの中で、特に有名なのが1997年春夏シーズンの「ボディ・ミーツ・ドレス ドレス・ミーツ・ボディ」ではないでしょうか。
元々アバンギャルドな服を提案していたコム・デ・ギャルソンですから、顧客やファンは皆、個性的な服を求めている人ばかりですし、その耐性もあります。そんな彼らの中ですら賛否が分かれたというのが、このコレクション。
当時からギャルソンに肯定的だったメディアも、お茶を濁したような評価をしたと言われています。
発表されたドレスは、通称「こぶドレス」と呼ばれていますね。
このドレスについて川久保氏は、「社内でも、制作以外のスタッフに見せたときは最初はみんな無言でした。何か言いなさいよって言いながら孤独を感じましたね」と振り返っています。
さすがに社内でも賛否が分かれていたみたいですね。
しかしそれだけのインパクトを残したこのコレクションは、時間の流れた現代でも語り継がれるほどの有名なコレクションになっています。そういった意味でも、大成功だったと言えるのかもしれません。
他にもギャルソンといえば、多数のライン展開も特徴的です。現在コム・デ・ギャルソンには19のラインが存在しており、それぞれが独立したブランドになっています。