いわゆるオールドタイプの「オタクファッション」も、よく見れば典型的なアメカジファッションですからね(※1)。

 一方イタリアのファッションは、分かりやすく「オシャレ」をしたスタイルであることが多いです。これは僕の年齢もありますが、普段着はアメリカンファッション、お洒落着はイタリアンファッション…なんてよく教えられたものでした。スタイルでいうとカジュアルなジャケットにスラックス、ボタンをがっつり開けたシャツ、という感じです。今はもう古いイメージでしょうね。

 ファッション雑誌「LEON」が提唱して広まった「ちょいワルおやじ」なんかは、典型的な例です。イタリアファッション=エレガントでセクシー。こういったイメージが定着したのは、1980年代のことでした。

 そしてその出発点となるのが、「ミラノの3G」だったというわけです。

セレブへの衣装提供を
積極的に行ったアルマーニ

 3人とも偉大な人物であることには間違いないのですが、知名度で言いますと、最も有名なのは「ジョルジオ・アルマーニ」でしょう。

 メインラインである「ジョルジオ・アルマーニ」のほか、セカンドラインである「エンポリオ・アルマーニ」や、若者向けの「アルマーニ・エクスチェンジ」など、幅広い層に支持されているブランドです。

 ラルフ・ローレンもそうでしたが、アルマーニもまた、デザイナー畑の人物ではありません。もちろん服も素晴らしいのですが、どちらかというとマーケティングのような「商売」が上手な人だったんですね。80年代に入り、ブランドの名前の売り方もどんどん近代化してきたのです。

 アルマーニの認知度が上がるきっかけとなったのは、アメリカのハリウッドセレブへの衣装提供を積極的に行っていたことでした。

 1980年、リチャード・ギア主演の映画『アメリカン・ジゴロ』への衣装提供により、アルマーニはその人気に火が付きます。イタリアのブランドながら、アメリカ市場でのニーズに応えることでその認知度を上げていったのです。

※1…それだけ当たり前に浸透しているのが仇となり、アメカジファッションは高い服が高く見えないとも言われます。ヴィンテージアイテムもそうですね。背景を知らない普通の人にとってはただの古いくたびれた服です。自己満足と言われればそれまでですが、新品も古着もアメカジをお洒落に見せるのって結構大変なんです。