またアルマーニは戦略として、従来のモードブランドとは明らかな違いを設けました。商品の価格設定です。

 昔ながらのモードブランドが、その圧倒的な敷居の高さを付加価値にしているのに対し、アルマーニをはじめとする近代的なブランドは、価格を抑えたセカンドラインやディフュージョンブランドなど、さまざまなレーベルを立ち上げました。そうすることでブランドイメージを損なうことなく、より幅広い販路を持つことに成功したのです。

 日本においても、アルマーニといえば、ジョルジオ・アルマーニよりも、エンポリオ・アルマーニを想像する人が多いのではないでしょうか。

 70年代にプレタポルテ(編集部注/高級既製服)が台頭し、モードはより一般的なものへと変化しましたが、アルマーニをはじめとするブランド群もまた、その一旦を担ったブランドであると言えるでしょう。

ヴェルサーチが巻き起こした
スーパーモデルブームとは

 次に、ジャンニ・ヴェルサーチが1978年に創業した「ヴェルサーチ」。

 世界的に人気の高いブランドで、80年代はクリエイティブなデザインや、エンタメ性の高いショーで評価を受け、セレブ層の人気を勝ち取っていました。顧客としてはマドンナやダイアナ元妃、エルトン・ジョンなどがいました。

 彼はコレクションのランウェイにセレブを招きショーを行ったパイオニアで、後に起こるスーパーモデルブームの立役者としても知られています。

 ブランドの評価は高く、例えばニューヨークタイムズは当時「ファッション界では10年に一度だけスターが生まれる。ポワレ、シャネル、サンローラン、そして今はヴェルサーチである」とベタ褒めしました。

 モードの世界で確固たる地位を築いていたヴェルサーチですが、1997年7月、マイアミのサウスビーチで殺害されてしまいます。享年50歳。早すぎる死でした。

 現在は妹である、ドナテラ・ヴェルサーチが事業を継承していますね。