自動車 “最強産業”の死闘 アンケート#3Photo:Bloomberg/gettyimages

ホンダと日産自動車の統合交渉は破談に終わった。だが、両社が単独で生き残れるかどうかは依然、不透明だ。自動車業界アンケートで、ホンダ、日産、三菱自動車工業、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などによる統合の是非や望ましい統合の在り方について聞いた。日産は「トヨタの支援を仰ぐべきだ」という意見が多数あることも分かった。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人アンケートで示す“危機の本質”』の本稿では、業界大再編の動向を読み解く。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

GM、ホンハイ、BYD、マツダ、タタ…
「非トヨタ連合」に加わってほしい候補は?

 自動運転などを制御するソフトウエアが自動車の価値を決める時代が到来している。トヨタ自動車やホンダなどの大手自動車メーカーは、新時代に対応するため、車載OS(基本ソフト)や自動運転用のAI(人工知能)などの開発を急ぐ。

 米テスラは2024~26年、毎年約1.2兆~1.5兆円を自動運転などに活用するAIの開発に充てている。

 年間1000万台を販売するトヨタグループなら、そうした巨額投資が可能かもしれないが、約300万~400万台クラスのホンダと日産自動車が、単独で兆円単位の開発費を捻出することは容易ではない。巨費を投じて完成させた車載OSやAIを共同で使うプレーヤーが多い方が、コスト的にも品質の改善のためにも有利になるという事情もある。自動車メーカーの統合、提携の重要性はさらに高まっているのだ。

 また、EV(電気自動車)でシェアを伸ばしている中国勢に対抗するには、日系自動車メーカーなどが統合し、パーツの共有化や部品メーカーの再編を行い、新時代のサプライチェーンを構築することが重要だ。

 そうした中で、ホンダと日産自動車は統合交渉を行ったが、25年2月に破談となってしまった。しかし、両社は次世代EVの開発における提携は模索し続けており、再び統合の機運が高まる可能性も残る。

 そこで、ダイヤモンド編集部は自動車業界アンケート(下図参照)で、「ホンダ+日産の統合は必要だ」「両社+三菱自動車の統合が必要だ」「3社の統合と、+αの提携などが必要だ」などの選択肢から自分の考えに近いものを選んでもらい、4社目の「+α」として加わるのが望ましい企業について聞いた。

 その結果、ホンダや日産などの統合について、回答者が所属する自動車メーカーによって、意見が大きく異なることが分かった。また、ホンダ系サプライヤーと日産系サプライヤーでも、かなり温度差があることが判明した。次ページでは、自動車業界の望ましい再編の在り方を探るとともに、属性別に回答を分析し、各プレーヤーの本音を明らかにする。

図表:自動車メーカーの統合への業界関係者の賛否(回答者属性別)サンプル