Photo:JIJI
日本の基幹産業として君臨してきた自動車産業が、“衰退の危機”にひんしている。ダイヤモンド編集部は、危機の本質を明らかにするため自動車業界関係者にアンケートを実施。完成車メーカー社員らに自社の「役員」「開発・商品力」「意思決定のスピード」「サプライヤー政策」など6項目を辛口評価してもらい、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、三菱自動車工業それぞれのレーダーチャートを作成した。また、自社の経営上の弱点を挙げてもらってランキングにした。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『自動車業界350人が明かす“危機の本質”』の本稿では、完成車メーカー社員らが明かす自社の強み、弱みを徹底解明する。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
自動車メーカー社員らが考える
自社の「弱点ランキング」も初公開!
「日本の自動車メーカーは、トヨタ自動車以外は生き残れないのではないか」
これは、ダイヤモンド編集部が実施した「自動車業界アンケート」の回答者のコメントである。同アンケートでは、完成車メーカーやサプライヤー、ディーラーの役員、社員らが日本の自動車産業の危機の本質を明かしてくれた。
アンケートでは、完成車メーカーの役員、社員ら170人に、自社について評価してもらった。評価項目は、「役員のビジョン、経営戦略」「『売れるクルマ』を造る力、商品力」「意思決定のスピード」「調達部品などの値上げ許容度」など六つ。各5点満点で採点してもらった。
この他、自社の「弱み」を挙げてもらい、メーカーごとに指摘が多かった弱点をランキング化した。
そうしてまとめた、トヨタ、ホンダ、日産自動車、マツダ、三菱自動車工業の社員らの自社に対する評価を比較すると、各メーカーが生き残っていくための課題が浮き彫りになった。
例えば、日本の自動車業界は「トヨタ1強」といわれるだけあって、同社の自己評価は総じて高かった。だが、ある重要項目は意外なほど低評価であり、その項目が社員から弱点として捉えられていることが分かった。
ホンダは、風通しの良さは高評価だったが、生き残っていくのに欠かせない重要な項目の自己評価が低かった。
経営再建中の日産は、総じて低評価で、特に役員に対する不信感の強さが際立った。ただし、回答した社員らのコメントからは膿を出し切ろうという決意が感じられた。
次ページでは、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱自動車の強み、弱みのデータを、役員、社員らのコメントを交えながら徹底分析していく。










