
入試と入学後の授業が
結びついた教育

渋田 入試問題についても詳しくうかがいます。問題を見ていると、洗足学園の教育の特色を象徴しているように思います。
玉木 はい。洗足の中学入試は入学後の授業と非常に強く連動しています。理科と数学がもっとも端的な例でしょう。例えば数学では学内にある3メートル近い彫刻作品のミネルヴァ像の高さをどう測るかという課題を出す。先に「相似」を教えていないのがポイントです。
渋田 先に公式を教えないということですか。
玉木 ええ。相似を教えてから、その確認として「相似を用いて、脚立を使わず彫像の高さをミリ単位まで正確に割り出しましょう」というのが一般的な授業だと思いますが、「どんな手段を使ってでもいいからミネルヴァ像の高さを測ってみて。ただし、脚立を使って実測してはだめですよ」というのが洗足の授業なんです。
渋田 生徒たちはどうするんですか。
玉木 入学時に一人一台用意していただいたパソコンのカメラを使うとか、三角定規を使うとか、いろいろ試行錯誤する中で相似の法則を自ら発見していきます。
渋田 そうした考え方が、入試問題にも反映されているということですね。