国税庁長官、次長、課税部長の3職は、国税庁のトップスリーとされており、つまり、国税庁トップスリーはいずれも、財務省のキャリアで占められているのです。ほかにも、強大な権力を持つ、調査査察部長や、東京、大阪、名古屋など主要国税局の局長にも、財務省のキャリアが座っています。
これを見れば、どう考えても「国税庁は財務省の子分だ」となるはずです。
「徴税権を持つ」ということは、予算権限を持つのと同等か、それをしのぐような強力な国家権力です。財務省は国の柱となるような巨大な権力を2つとも手中にしているのです。
世界有数の巨大権力組織を動かすのは
わずか1000人のキャリア官僚
このような巨大な権力を持つ省庁は、先進国ではあまり例がありません。
国税庁は、国民全部に対し、「国税に関することはすべて調査する権利」を持っています。国民には、これを拒否する権利はないのです。
このような強大な「徴税権」を、予算権を持っている財務省が握っているのです。
実は、これは非常に恐ろしいことでもあります。
「予算というエサをばらまくことで言うことを聞かせる」というほかに、「徴税検査をちらつかせて言うことを聞かせる」ことができるのです。
これでは国民も企業も、財務省の言うことを聞くしかなくなる、というものです。
しかも信じられないことに、この強大な権力を持つ財務省もまた、わずか数百人のキャリア官僚によって支配されているのです。
財務省自体には、7万人を超える職員が働いています。しかし、財務省の重要なポストにはすべて、1000人に満たない「キャリア官僚」という人たちが就いており、財務省は実質的に「キャリア官僚」に支配されているのです。