言語化スキルで傾聴力が向上する
言語化スキルを身に付けることで、メンバーへの傾聴力が飛躍的に向上します。というのは、「言語化スキル=明確にするスキル」だからです。
そもそも傾聴力とは「黙って話を聞く力」ではありません。相手の話を正確に理解し、その背景にある感情や課題を理解し、そのうえで「何が問題になっているか・この場では何を伝えなければいけないか」を言葉で返す力です。
言語化スキルを身につけると、部下の話を聞きながら「この人は今、○○について悩んでいて、本当に解決したいのは△△なんだな」ということを瞬時に整理できるようになります。
たとえば、営業成績が上がらないメンバーがいます。本人は「営業ができなくて……」と口にするかもしれません。しかし考えてみると「営業」という行為はありません。
世に言う「営業」とは、たとえば
1) テレアポする
2) 電話で話して興味を持ってもらう
3) 別日に打合せ(商談の場)を設定してもらう
4) 商談時に向けてプレゼン資料を作る
5) 商談時にプレゼンをする
6) クロージングする
などの一連のアクションを指します。メンバーが「営業ができない」と言っても、それは営業ができないのではなく、その中の何かのアクションができないのです。
それを明確にする前に、「そっかぁ、営業ができないんだね。私もそういう時代がありましたが、試行錯誤して克服しました。あなたはどうすればいいと思いますか?」と質問しても答えは見えてきません。
まずは状況を明確に言語化し、相手が何に悩んでいるかを特定させることが先です。
仮に「営業ができない=相手に響く資料が作れない」だとしたら、先輩が作成した資料を共有して、そのまま使えるようにする、社内で資料作りの勉強会を実施するなどの対策が取れます。また「営業ができない=テレアポが怖くてできない」だとしたら、テレアポのマニュアルを作ることが解決になるかもしれませんし、新規クライアントではなく既存クライアントだけを任せる判断もあり得ますよね。
漠然とした状況で「どう思う?」と問われても何も出てきません。課題を明確に言語化するからこそ、メンバーからもアイディアを引き出せるのです。